ミステリー事典 ムーペディア

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あらゆる幻獣の祖にして王「ドラゴン」/幻獣事典

あらゆる幻獣の祖にして王「ドラゴン」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、人類最古の記憶に刻まれる脅威「ドラゴン」です。 文=松田アフラ スロベニアのリュブリャナにかかる橋に座するドラゴン像。  西洋のみならず、全世界のあらゆる幻獣・怪物の総大将、総元締めともいえる存在がドラゴンである。「ドラゴン」という言葉自体はギリシア語の「drakon(視る者)」に由来しているが、現存するドラゴンの痕跡は古代ギリシアを楽々と飛び越え、人類最古の文明であるシュメール文明にまで遡ることができる。  シュメ

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強大なる混沌に発した大海の怪物「レヴィヤタン」/幻獣事典

強大なる混沌に発した大海の怪物「レヴィヤタン」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、神の手も及ばぬ原始の混沌「レヴィヤタン」です。 文=松田アフラ 海のレヴィヤタン(下段)が混沌を、陸のベヒモス(中段)が豊穣を示す。ウィリアム・ブレイク画。  ヘブライ語でリヴヤーターン、英語でリヴァイアサンと呼ばれるレヴィヤタンは、『旧約聖書』などで言及される海の怪物である。語源はヘブライ語の「ラーヴヤー」すなわち「絡みつく動物」。ヘブライ人は古代のバビロニアからこの怪物に関する知識を取り入れたらしく、してみればレ

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人間とも交わった北欧の妖精「トロール」/幻獣事典

人間とも交わった北欧の妖精「トロール」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、北欧で人とも深く交流した妖精「トロール」です。 文=松田アフラ 優しい巨人、また裏腹にイタズラ好きの小人というイメージもあるトロール。  北欧諸国、特にノルウェーやデンマークの伝承に登場する妖精の一種であるトロール。通常は小人とされるが、まったく逆に巨人とされることもある。  文学者ホルヘ・ルイス・ボルヘスによれば、元来はヨトゥンヘイムに棲み、戦神トールと戦った巨人族が「無骨なトロールに変えられた」という。かつての

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スコットランドに伝わる馬型の水精「ケルピー」/幻獣事典

スコットランドに伝わる馬型の水精「ケルピー」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、生け贄を求める凶兆の水精「ケルピー」です。 文=松田アフラ 馬のような姿だが、自在に背を伸ばすという能力もあるという(イラスト=Wikia)。  ケルピーはスコットランドの民話に登場する水の精である。人間の姿を採ることもあり、ときには美しい若者に化けて無垢な乙女を誘惑したりもするが、通常は馬の姿をしており、その身体には緑の発疹があって、川や湖や沼の中に潜んでいるという。  スコットランド語のkelpieの語源は不明だ

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人類に文明を授けた半魚の半神「オアンネス」/幻獣事典

人類に文明を授けた半魚の半神「オアンネス」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、幻獣というよりも半神、メソポタミア神話に遡る賢人「オアンネス」です。 文=松田アフラ シュメール時代のレリーフに描かれたオアンネス。  半魚人や人魚などは幻獣として知られるが、果たしてオアンネスを「幻獣」のカテゴリに入れるべきであろうか?  オアンネスの起源は、現在判明しているところによれば、古くメソポタミアの神話にある。紀元前14世紀というから途轍もない大昔であるが、テル=エル=アマルナやアッシュールから出土した

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為政者にも庶民にも愛された瑞獣「白澤(はくたく)」/幻獣事典

為政者にも庶民にも愛された瑞獣「白澤(はくたく)」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、賢帝の治世に現れる除災の神獣「白澤(はくたく)」です。 文=松田アフラ 江戸時代の画家、福原五岳による「白澤避径図」。  白澤は、鳳凰や麒麟と並ぶ古代中国の瑞獣である。その起源は不明だが、五経のひとつである『礼記』にもその名が記されていることから、少なくとも紀元前に遡ると考えられる。  江戸時代中期の類書『和漢三才図会』には、「東望山に澤獣あり、一名を白澤。能く言を語る。王者有徳にして明照幽遠ならば則ち至る。昔、黄

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怒れる母性を宿す人面の女獣「スフィンクス」/幻獣事典

怒れる母性を宿す人面の女獣「スフィンクス」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、エジプトとギリシアにまたがる「スフィンクス」です。 文=松田アフラ ギリシアのデルフィ考古学博物館収蔵のスフィンクス像。紀元前570~前560年ごろナクソスから奉納されたもの。  一説によれば、このエジプトのスフィンクスはメソポタミアを経てギリシアに採り入れられたとされているが、エジプトとギリシアのスフィンクスは実に2000年もの時を隔てており、性別も逆であることからして、両者は実際にはまったくの別物であると思しい。

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名状しがたき不詳の怪物「鵺/鵼」/幻獣事典

名状しがたき不詳の怪物「鵺/鵼」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、頭は猿、躯は狸、尾は蛇、手足は虎ーー「鵺」です。 文=松田アフラ 歌川国芳による「木曽街道六十九次之内 京都 鵺大尾」。 『平家物語』によれば、仁平の頃、夜な夜な東三条の森のほうから一群の黒雲がやってきて御殿を覆い、時の近衛天皇が魘されるという怪事が起こった。そこで源三位源頼政が警固を命じられた。夜半、頼政は「雲の中に怪しき物の姿」を見てこれを射落とすと、「頭は猿、躯は狸、尾は蛇、手足は虎の姿なり。鳴く声鵺にぞ似たり

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天下太平を兆す五彩の霊鳥「鳳凰」/幻獣事典

天下太平を兆す五彩の霊鳥「鳳凰」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、天子の即位に瑞兆として出現する「鳳凰」です。 文=松田アフラ 中国や台湾の寺院、廟には、屋根を守護する鳳凰像が飾られることが多い。  前漢代初期の地理書『山海経』に、次のような一節がある。 「丹穴の山……鳥あり、その状は雞の如く、五彩で文あり、名は鳳凰。首の文を徳といい、翼の文を義といい、背の文を礼といい、胸の文を仁といい、腹の文を信という」  ここに記された「鳳凰」とは、古代中国において麒麟、霊亀、応龍とともに

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神聖にして獰猛なる可能性の獣「ユニコーン」/幻獣事典

神聖にして獰猛なる可能性の獣「ユニコーン」/幻獣事典

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、悪と乙女を象徴する「ユニコーン」です。 文=松田アフラ 15世紀末フランスの連作タペストリー「貴婦人と一角獣」の一枚。 「彼女たちはその獣を穀物で養うのではなく、只管に、それが在るという可能性を糧として養った。そしてそれこそが獣にその身から、額の角を生いはやす力を授けたのだ、一本の角を」  かつて詩人リルケはそう歌った。その獣、一角獣とは、紋章などにおいては額に螺旋を描く一本の長い角を生やした馬の姿で表される幻獣で

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