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怪異の表象、アストロバイオロジー、アメリカ史の”真実”……/ムー民のためのブックガイド

「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
(ムー 2020年6月号掲載)

文=星野太朗

怪異の表象空間 メディア・オカルト・サブカルチャー/一柳廣孝 著

学術誌などに発表してきた種々の論文の集大成
「怪異」とは読んで字のごとく「怪しいこと、普通とは異なること」で、化物、変化(へんげ)、妖怪、幽霊を含む「常識では計り知れない出来事や現象」。そして著者によれば、われわれが怪異を怪異として認識するプロセスには、「時代や地域特有の文化的感性」が潜んでいる。すなわち怪異とは、「私たちがこの日常、この現実を把握するために使用している認識の枠組みの、陰画なのである」。
 本書の第1部で検討が加えられるのは「近代日本において怪異が表象される多様な言説空間のありよう」である。本書の標題である「怪異の表象空間」の由来と意図は、けだしここにある。以下、第2部では「1970年代のオカルトブーム下における怪異の問題」、第3部では「現代日本のポップカルチャーにおける怪異表象の問題」が考察される。
 ここまでの紹介でおわかりの通り、本書は難解である。著者は横浜国立大学教授で、専攻は日本近現代文学・文化史とある。本書は、これまでに著者が学術誌を含むさまざまな媒体に発表してきた種々の論文を集成し、テーマ別に編纂したものだ。
 だが、ただ難解であることを理由に本書を敬遠するとすれば、それはあまりにももったいない話である。本書には本誌読者の趣味嗜好にも必ずや合致する論題が満載されているからだ。たとえば第2章「心霊としての『幽霊』」には明治以降の日本の「幽霊」観を理解するためには不可欠な内容が含まれているし、第6章「霊界からの声」では、科学が「幻想を懐胎する子宮となる」機序の一端が開示される。
 つのだじろう『うしろの百太郎』や熊倉隆敏『もっけ』といった新旧の漫画作品が論評の俎上に載せられたかと思えば、70~90年代を席捲したオカルト、精神世界、ニューサイエンスといった一連のムーヴメントの軌跡が、透徹した視線で俯瞰されたりもする。掉尾を飾る『もののけ姫』論は、この映画を見た人すべてに目を通していただきたい緻密で深遠な論考となっている。
 ぶっちゃけていえば、何も本書に収録された全論文を精読する必要もない。書店で現物を手にとって、本書の中にひとつでも琴線に触れるトピックがあれば、まさしく「買い」である。本物の学問の持つ凄味と面白さとをまざまざと実感できよう。


ダビデ・ソロモンから神武へ 天皇家はユダ族直系!/泉パウロ 著

聖書の言葉に従って日本の天皇とその役割を読み解く
 著者の泉パウロ師は「純福音立川教会」の牧師である。そしてどうやら著者は、聖書は一言一句に至るまで神の霊感によって書かれたものであり、その記述内容のすべてが真実である、とのお立場のようだ。本書はそのような観点から、聖書の言葉に従って日本の天皇とその役割を読み解こうとする独自の試みである。
 本書はまず、現在の敬宮愛子内親王および秋篠宮悠仁殿下が実は「影武者」であり、本物はどこかに幽閉されている、という衝撃的な指摘から始まる。続いて、日本の初代天皇である神武天皇はイスラエルのユダ族の王であるインマヌエルと同一人物であることが聖書にもとづいて論証される。そして近い将来、いずれ発見されるイエスの血がDNA鑑定によって皇族の血と同族であることが証明されることになるという。
 また、過越祭を初めとするイスラエルの7つの祭はすべて日本にそのまま持ち込まれ、皇室を中心として現在も日本で挙行されているという。たとえば過越祭は日本の一般国民にとっての初詣であり、皇室の歳旦祭。「種なしパンの祭」は諏訪大社の奇祭「御頭祭」であるなど。
 聖書と皇室とのかかわりを縦横無尽に語りつつ、その実、本書の真の目的は、読者へのキリスト教の布教にあるらしい。
 著者は断言する、「信じてください。聖書は本当です。神様はあなたを愛して永遠の命を与えて救うことができます……ハレルヤ\(^o^)/」(原文ママ)と。


地球は特別な惑星か? 地球外生命に迫る系外惑星の科学成田憲保 著

系外惑星探査の最前線とこれからの研究の展望
 この地球以外に、宇宙に生命は存在するのか。古くから天文学者たちを悩ませてきたこの問いに、ついに科学的な答えが出ようとしている。
初めての系外惑星(太陽系外の惑星)の発見から25年、今やこれまでに発見された系外惑星の数はすでに4000個を超え、まさに「宇宙に第2の地球たちが発見される時代」がすぐそこまで来ているのだ。
 本書は、第一線で活躍する少壮の天文学者が、「系外惑星探査の最前線とこれからの研究の展望」をわかりやすく紹介する、宇宙ファン待望の書。何しろ著者は自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター特任准教授として、「観測による系外惑星の発見や性質調査、形骸惑星観測用の装置開発、アストロバイオロジーの学際的研究」などに携わってきた斯界の第一人者であり、現代を代表する知性のひとりなのだ。
 そんな著者が、「数式はいっさい使わず、前提知識がなくても理解できるように配慮しつつ」、過去数多の天文学者たちが英知を振り絞って生み出してきた観測メソッドの数々、いわば専門家の手の内を懇切丁寧に、惜しげもなく公開した決定版的入門書こそが本書なのである。これが面白くないわけがない。
 もしも評者が少年時代に本書と出逢っていれば、今ごろは天文学者として系外惑星の探査に従事していたかも、などと思わず妄想してしまう。これから本書を手にとる少年少女の諸君はじつに幸せ者である。


解明される 波動の真実/広瀬 学 著

オカルト・超科学ファンに読んでほしい一冊
「波動」とは一般には物理学用語で「空間の一部に生じた状態の変化が、次々に周囲に伝わっていく現象」を意味する。だがよく知られているようにオカルト業界では、この言葉は「現代科学では測定できない、あらゆるものが持つ固有の振動、あるいは波のようなエネルギー」の意味で使われている。のみならず、その「波動」を用いたと称する各種製品まで出回っている。
 本書の著者は元オーディオ雑誌の編集者で、編集業務の一環としてそうした波動製品と出会い、あれこれあって現在は「自称・不思議ジャーナリスト」として活動しているという変わり種である。知る人ぞ知る事実であるが、オーディオという分野は実はオカルトとの親和性が意外に高いのだ。
 この波動を、著者は「未踏科学」の一種であるとする。その心は、「現代科学では原理を説明できないものの、効果や結果は現代科学で測定できるという、オカルトな現象を扱うジャンル」。すなわち波動製品を使うと、原理は不明ながら、確かに食べ物の味が変わったり、CDの音質が向上したり、あるいは腐敗の進行が遅れたりしている事実が各種の測定器具によって実測可能だというのだ。実際、有名企業の製品の中にも、密かに波動技術が用いられているものも多いという。
 オカルトファン、超科学ファンはもとより、オーディオマニアにこそ読んでいただきたい異色の書である。


異職怪談 ~特殊職業人が遭遇した26の怪異~/正木信太郎、しのはら史絵 著

就業中に遭遇した怪異をまとめた実話怪談本
「異職」とはまた聞き慣れない言葉であるが、「珍しい職業」の意味だという。おそらく「異色」に掛けた造語であろうが、本書はそんな異職者が「就業中に遭遇した怪異をまとめた実話怪談本」である。
 いったいどんな職業が「異職」としてあげられているかというと、「高層ビル窓拭き業」「伝書鳩ブリーダー」「鑑識官」「湯灌(ゆかん)師」「出会い系サイトのサクラ」「樹木医」といったいかにもなものから、「塾講師」「路線バス運転手」「鮨屋」「保育士」などのようにあまり「異職」感のないものまで、全25種に及んでいる。
 因みに「湯灌師」というのは、「遺体を入浴させて洗浄する人のこと」である。なるほど、怪異体験のひとつやふたつ、むしろないほうが不自然な職業だ。
 この「湯灌師」に限らず、異職度の高い職業は、ただでさえその業界の実態や裏話などをあれこれ聞いてみたいと思わせるもの。ましてや話の内容がその職業ならではの怪奇体験というのだから、そそのかされることこの上なし。書店で見かけたら、手にとらずにはいられない。何とも心憎い企画を思いついたものだ。
 聞き取り取材を元にしているため、文体はテンポもリズムも申し分なく、内容の面白さも相まってぐいぐい引きずり込まれ、最後にゾッとする。
各話が短くまとまっている点も、読みやすさに拍車をかけている。普段あまり読書をしないという人にこそ、ぜひお奨めしたい「実話」集だ。


レムリアの波動に包まれた地球があなたを「幸せな変容」に導く/ほおじろえいいち 著

レムリアと次元上昇に関する情報や実践法も公開
「次元上昇(アセンション)」といえば、スピリチュアル界隈でよく語られる概念である。著者によればそれは、「太陽が意識的に地球の波動上昇を促すエネルギーを放出し」その結果として「地球の波動」が上昇、その影響を受けて人々が「幸せな変容」をすることであるという。
 天体としての太陽に「意識」がある、という時点ですでに眉唾ものだと思われるかもしれないが、これを提唱しているのは英国の生物学者ルパート・シェルドレイク。おいそれと一笑に付せる話ではない。しかもこのことは、本書の著者自身の実体験にも裏づけられているというのだ。
 本書の著者・ほおじろえいいち氏は元来は生化学が専門で、「ホルモンの生体制御学」などの研究に従事していた。現在は生命エネルギー研究家・映像作家として活動しており、「レムリアン・ヒーリング」と呼ばれる霊的技法のプラクショナーでもある。「先端科学とスピリチュアリティの統合」を標榜している通り、本書においても自動書記や瞑想などのスピリチュアルな手段によって受け取った情報を、先端科学の知見を総動員して解析しようとする姿勢は一貫している。
 レムリアと次元上昇に関する情報開示のほか、それを読者自身が体験できる実践法も公開されている。自分の次元を上昇させたい人はもちろん、昨今のスピリチュアル界隈の事情や思想の基本を知りたい人にもうってつけの入門書である。


本当は恐ろしいアメリカの思想と歴史/副島隆彦 著

気鋭の評論家の面目躍如たる最新刊
 本書の著者・副島隆彦氏は、「副島国家戦略研究所」を主宰し、日本が採るべき自立の国家戦略を提言しつづけている気鋭の評論家。英和辞典の誤りを指摘するほどの英語力でも知られている。
 本書はそんな著者の面目躍如たる最新刊で、現在の世界情勢を理解するのに必須の「ヨーロッパとアメリカのこの500年間の歴史」を「鷲づかみ」にできる問題作である。
 著者によれば、「ヨーロッパとアメリカのすべての近代政治思想を作った」のは「ユニテリアン」と呼ばれるプロテスタントの一宗派である。だがこの宗派、実際には「今やキリスト教徒ではない」といっても過言ではない奇怪な団体であり、その正体は何と、あの秘密結社フリーメイソンリーであるというのだ。
 著者の博覧強記と、それを支える包括的・俯瞰的な視点で綿密に構成された内容自体もさることながら、記述の手法もじつに斬新。随所に挑発を交えた達意の筆で、「日本人が誰も知らない」「これまでの日本の歴史学者、ヨーロッパ史、アメリカ史の人たちが分かっていない」「日本では教えない秘密」がこれでもかと開陳されるのだから堪らない。読むだけで何やら自尊心が湧き、どんどん頭がよくなっていく(ような気がしてくる)傑作だ。一般の認識に反して、フリーメイソンリーは実際には悪ではなく正義の秘密結社だという指摘にも思わず膝を打つ。すべての「知的国民」必読の書である。


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