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失われた“神の玉座”の行方を追う!「古代の宇宙人 決定的証拠を探せ!失われたアーク」/宇佐和通・ヒストリーチャンネル・レビュー

十戒(じっかい)の石板を収めた契約の箱──アーク。
もしも神が異星人だったとしたらアークとはいったい何だったのか?

文=宇佐和通

十戒石板を収めた聖櫃

「契約の箱」「あかしの箱」「主の箱」「神の箱」──いずれも、十戒(じっかい)が刻まれた2枚の石板を収めたアーク=聖櫃を意味する言葉だ。『聖書』に記されたアークの物語は、長い間多くの人々を魅了しつづけてきた。

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契約の箱アークの復元図。その正体は異星人のテクロノジーが詰まった科学的工芸品だったのか?

 今回の番組「古代の宇宙人 決定的証拠を探せ 失われたアーク」は、究極の聖遺物であるアークのありかを追っていくという趣向で、フィールドワークの意識がかなり強く感じられるつくりとなっている。案内役のツォカロスもフットワークよく動きまわり、さまざまな現場を紹介してくれる。

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アークの正体を追求する、番組の案内役ジョルジョ・ツォカロス。

 アークには不思議な力が宿るといわれている。『聖書』には砂漠地帯を放浪した古代イスラエル民族に食糧を与え、パレスチナの古都ジェリコの城壁を崩し、紅海(こうかい)を分かったと記されている。これらにはすべて、アークが関わっていると考えていいだろう。ポップカルチャーの世界でも、1981年公開の映画『レイダース 失われた聖櫃(アーク)』のラストで超常的なパワーが発揮されるシーンが印象的だった。
 アークは十戒の石板を保管するためのものという解釈が第一義的だ。しかしユダヤ教の指導者エド・ファインスタイン師は、アークこそが神の玉座そのものであると考えているようだ。その論拠は次の文章だ。
「わたしのための聖なる所を彼らに造らせなさい。わたしは彼らの中に住むであろう。わたしが示す作り方に正しく従って、幕屋とそのすべての祭具を作りなさい」(「出エジプト記」第25章8~9節/新共同訳)「彼らの中に住む」という表現は、ともに行動し、常にともにあるというニュアンスが強く感じられる。
 そして、神がシナイ山の頂上でモーセに伝えたのはこういうことだ。
 ──エジプトから出て長い旅をするイスラエルの民とともにあるため、十戒を記した石板を保管し、「わたし」を宿すためのものとして聖なる箱を造りなさい。そしてそれを安置する場所として、幕屋を造りなさい。こうすれば、わたしとイスラエルの民は常に一緒にいることができる──。
 すなわち、いつでもどこでも、超常的なパワーによって守護を与えつづけることができるということなのだ。

アークの超テクノロジーと役割

『聖書』に記されているのは伝承ではなく、歴史的事実であるとする考え方がある。過去にもイエスやその血族の墓所が見つかったという話や、イエスとクムラン宗団、そして『死海文書』との関係が取りざたされる話が浮上した。アークもまた、こうしたジャンルの話と無関係ではない。アークが保管されていた幕屋の痕跡を含む遺跡が見つかったのだ。
 2013年7月、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地区であるベイトウェルから16キロほど北に行ったところで、土器やかまど、そして壁の一部から成る紀元前1300年ごろの遺跡が発見された。その遺跡には、硬い岩盤を削(けず)って作られた穴があったが、この穴がアークを保管しておく幕屋の支柱を立てるためのものだった可能性が高いことがわかったのだ。

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ヨルダン川西岸地区にある紀元前1300年ごろの遺跡からは、アークを保管する幕屋の支柱を立てるための「穴」らしきものが発見されている。

 幕屋の存在が科学的手法によって確認できたなら、アークのありかを探るヒントがひとつ増えたことになる。
『旧約聖書』によれば、アークは強大なエネルギーを発するだけでなく、モーセが神から授かって兄アロンが使っていた杖や、長い間砂漠をさまよったユダヤ民族に食糧をもたらしたマナの壺も収められていたとされている。
 十戒が記された石板とアロンの杖、そしてマナの壺──アークはイスラエル民族のアイデンティティを決定づけ聖遺物の容器として、いわば三種の神器が納められた“寺院”として、イスラエル民族と一緒に砂漠を旅していたのではないだろうか。

アークは今どこにあるのか?

 アークのありかに関する説はさまざまだ。たとえば、エルサレムがバビロニアの手に落ちる前にエチオピアに運ばれ、いまだにアクサムという町にあるシオンの聖マリア教会の一角で保管されているという話がある。
 ただし、アークに近づくことができるのは教会によって任命された「守護者」と呼ばれるたったひとりの男性だけであり、教会関係者でさえ見ることはできない。したがって本当にアークが保管されているのか、そしてそれが本物であるのか、実際に確かめる方法はない。
 エルサレムの第1神殿の地下回廊に隠されているという話はどうだろうか。この場所も調査を行うことは不可能だ。イスラム教第3の聖地である“岩のドーム”の真下に位置しているからだ。

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エルサレムの第1神殿跡地に建つイスラム教の聖地、岩のドーム。この地下回廊にアークが隠されていたとしても、調べることは不可能だ。

 そして『レイダース 失われた聖櫃』で描かれたように、第2次世界大戦中にヒトラーがアークを発見し、隠しているという話まである。極端な話、可能性としては南極までその場所として挙げられているのである。
 いや、そもそもアークは本当に存在したのか。考えてみればそれは、同じような呼び名のノアの箱舟(アーク)にもよく似ている。箱舟については、トルコのアララト山に埋まっている可能性が指摘されてはいるが、それもまた確かめられたことはない。
『聖書』の記述は史実なのか、それとも伝承なのか。アークの謎は、そうした根本的な要素に直結するものなのだ。

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エチオピアのアクサムにある聖マリア教会の一角にある建物。ここにはアークが保管されており、「守護者」と呼ばれる男性がそれを守っているという。
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(月刊ムー2020年12月号掲載)

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