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太陽の下でないと動けないソーラー兄弟の話など/南山宏・ちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2016年12月号、第392回目の内容です。

文=南山宏

アリを悼むハチ

 2016年6月3日、世界的人気を博したボクシングの元ヘビー級王者が他界したその日、米ケンタッキー州ルイヴィルの生家の近くに建つ記念博物館、モハメド・アリ・センターは、約1万5000匹のミツバチの大群の訪問を受けた。
 ミツバチたちはかつて1974年、不敗の王者ジョージ・フォアマンと対戦してKOする直前に、〝チョウのように舞い、ハチのように刺す〟と記者団に大言壮語したアリをまるで悼むかのように、この名言が彫られた大理石製碑銘板の周囲を舞い飛び続けた。
 永遠の別れを惜しむようにいつまでも飛び去らないミツバチ群に困惑した博物館は、地元の養蜂家ケヴィン・マッキニー氏に頼んでなんとか巣箱に戻してもらった。
 ちなみにアリの名言は、この有名な前半からさらにこう続く――
〝ヤツのこぶしは、目に見えない相手に決して当たることはない〟


サイクリストの死

 2015年4月29日付〈デイリーテレグラフ〉紙によれば、南アフリカ共和国の禁猟区内で、男性サイクリストの変死体が発見された。
 同国最北部のリンポポ州ベルベラ市郊外に住む家族から、ブラーム・ボッス氏(45歳)が同月26日にサイクリングに出かけたまま帰ってこず、連絡もとれないと、警察に失踪届が出されていた。
 遺体はキリンの頭数密度がとくに高い地域で発見され、検死解剖の結果でも、キリンのひずめに踏み潰されていたことが判明した。
 運悪く転倒したボッス氏が、移動中のキリンの大群に踏まれたのか、何かの理由で彼らを怒らせて襲撃されたのか、詳細は不明だ。
 一見華奢(きゃしゃ)で優美なキリンだが、じつはひと蹴りでライオンも殺せるほど狂暴な草食動物でもある。


性別不能

 フランス・アンドレロワール県トゥール市の裁判所は、2015年8月、64歳のガルラン・アルシャンボー氏(仮名)に対し、男性でも女性でもない〝中性〟として役所に登録し直す許可を与える、ヨーロッパ初の判例を出した。
 アルシャンボー氏は、生まれつき男と女の性的特徴を有する、いわゆる〝両性具有者〟という。
 一般的に、この状態で生まれる赤ちゃんは2000人に1人といわれるが、通常は出産に立ち会う医師の判断で、男児か女児になるよう緊急処置が施されるそうだ。


ソーラーキッズ

 パキスタンの医師たちは、〝太陽少年(ソーラーキッズ)〟の異名で最近知られるようになった兄弟2人の不思議な症状に、ひどく面食らっている。
 今年13歳のショアイブ・アーメド君と9歳のアブドゥル・ラシード君は、昼間はごく普通の元気な子供なのに、夜になるとなぜか植物人間状態になって、動くことも話すこともままならなくなる。
「彼らに限ってどうしてこんな異常な症状を呈するのか、医学的にはまったく説明がつかない!」
 兄弟を綿密に検診した医師団を代表して、パキスタン医療科学研究所の医学者ジャヴェド・アクラム教授は、そう首をひねる。
「日中はとても活動的なのに、日が沈んだとたん目を開けられなくなり、口もきけなくなり、物も食べられなくなる。どうしてなのかさっぱり原因がわからない」
 兄弟の家族は同国バルチスタン州クエッタ付近の貧村に住んでいて、父親と母親は従兄妹(いとこ)同士だ。
 子供はこの兄弟のほか4人で、うち2人は早死にしたが、あとの2人に異常な症状はないという。
 父親のモハマド・ハシムは、わが子2人の特異な症状について、単純素朴な説明をつける。
「あの子たちはきっと、お日様からじかにエネルギーをもらって生きてるんだよ!」
 しかし、太陽が何らかの役割を演じているとする仮説は、日中であればたとえ地下室にいても雨天が続いても、活動に支障をきたさないので、医師たちは否定的だ。
 この兄弟の家族は極端な貧困家庭のため、目下のところは行政当局の計らいで、医療費の支払いはすべて免除されている。
 研究者たちは兄弟の血液サンプルはもちろん、彼らの村の土壌と空気も採取して、海外の専門機関に検査を依頼ずみだが、現時点ではまだ結果は発表されていない。

ウスターミルク

 英ウスターシャー州マルヴァーン在住のスティーヴ・ホイーラー老人(68歳)は、世界中を30年以上も旅して歩き、集めに集めた牛乳瓶が2万本以上に達した。
 老人は庭に物置小屋を6棟作って牛乳瓶を所狭しと並べ、このほど〝ミルク博物館〟を開設した。
 ご当人はその資産価値を、自信満々10万ポンド(約1300万円)分はあると見込んでいる。
 でも奇妙なことに、ホイーラー自身はミルクの味が大の苦手で、ただの1滴も飲めないそうだ。


怠け者のオリンピック

 ヨーロッパの小国モンテネグロで2014年8月、〝第2回国際レージー・オリンピック〟と称する、世界中で知る人はほとんど誰もいない〝競技会〟が開かれた。
 それもそのはずでレージー(怠け者)という通り、実際に参加したのは、世界でもいちばんアスリートとは縁遠い怠け者ばかり。
 実施された〝競技〟もいたって単純なのが、たったひとつだけ。
「公園の木陰で、いつまでのんびり寝そべっていられるか?」
 それでも誰が出したのか、勝者にはなんと、賞金が500ドルも与えられたという。
 とはいえ主催者たち自身が怠惰で怠慢なせいもあってか、誰がどこでどんなルールに基づいて勝者を決めたのか、何もかもが曖昧なままに〝怠け者のオリンピック〟はつつがなく(?)終了した。
 この地味すぎるイベントをわざわざ親切に取り上げてくれた〈MXニューズ〉紙2014年8月5日付によれば、疑問はまだある。
 〝第2回〟とあるが、では〝第1回〟はいつ、どこで開かれたのか? 次回の開催は何年か? 正規の国際オリンピック同様に、開催は4年ごとで次回は2018年か? 次の開催国はどこか?
 主催者たちはもっと世界から注目されたいと願ってはいるが、宣伝するのはメンドクサイそうだ。


(月刊ムー2016年12月号掲載)

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