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試験会場のジェームズ・ボンドとゴールドフィンガー/南山宏・ちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2017年7月号、第399回目の内容です。

文=南山宏

史上最悪の落雷

 昨年8月26日、同種の落雷被害ではおそらく史上最悪の事件が、ノルウエー中央部で発生した。
 子供70頭を含む322頭ものトナカイの群れが、たった1発の落雷で全滅の憂き目に遇ったのだ。
 現場となった山岳地帯のハルダンゲルヴィッダ高原を飛んだ警備当局ヘリの撮影画像には、トナカイの死体が比較的狭い地域に、折り重なるようにして倒れている惨憺たる光景が映っていた。
 そのほんの1週間前には、インド南部のヒンズー教聖地カンチプラムで、ヒツジの群れにイナズマが落ち、38頭が即死した。
 知られている限りでは、この事例以前に報告された家畜がらみの最悪のケースは、2005年にオーストラリア東部で起きた落雷事件で、68頭の乳牛が死んでいる。

007試験

 19世紀創刊の由緒あるロンドンは〈イヴニングスタンダード〉紙の名物コラムニスト、チャールズ・サートチ氏によれば——
 1990年度の全国統一試験に参加した15歳の学生の名は、ボンド……ジェームズ・ボンド。当然ながら受験番号は007だった。
 おまけに、試験会場で立ち会った監督官も、名をミスター・L・ゴールドフィンガーといった。

双子村

 ウクライナのヴァリカヤ村は、人口約4000人のうち、122組244人もの村民が双子なので、〝双子村〟と呼ばれている。

トランプ禁止法

 タイの有名リゾート、パタヤで昨年2月3日、トランプゲームのブリッジに興じていた31人のグループが、80年以上も昔に制定された〝トランプカード法〟に違反したかどで、現行犯逮捕された。
 彼らはいずれも現地人ではなく海外からきた滞在客で、年齢は50歳から84歳とまちまちなら、出身国もイギリス、スウェーデン、オーストラリアなどとばらばら。
 それにブリッジはしていたが、全員が年金生活者でもあり、お金はまったく賭けていなかった。
 それでも逮捕されたのは、この古い禁令の対象が賭け金のやりとりではなく、トランプのカードを〝1人で120枚以上所有すること〟(?)だったからという。
 けっきょく彼らは半日間、身柄を拘束されただけで釈放された。

5歳の賢者

 米ロサンゼルス在住のラムゼス・サンギーノ坊や(5歳)は、英・仏・独語はもちろん、日本語やスペイン語、ロシア語、ギリシア語など、少なくとも7か国語を話せるし、読み書きもできる。
 母親ニクスさん(32歳)の話では、ラムゼス君は満1歳でロシア語をしゃべりだし、2歳で日本語を読め、3歳でヒンズー語、アラビア語、ヘブライ語などの片言を言え、5歳でギリシア語の文章を書けるようになったそうだ。
 それだけでなく1歳半で、掛け算(九九)表を英語とスペイン語でぜんぶ唱え、元素の周期表を原子番号ごとまるまる知っていた。
 それでもラムゼス君は、コミュニケーション能力に欠けるのが特徴のいわゆる〝自閉症者〟と、専門家には診断されている。
 ただしラムゼス君の場合は、自閉症の約1割を占める〝高機能〟型で、医学上は〝サヴァン(賢人)症候群〟の患者に分類される。
 だが、自分の子が同年配の普通の子と違ってどうしてこんなに物知りなのか、母親のニクスさんにも全然わからないという。
「テレビをつけっ放しにすることがあるので、ひょっとしたらそれでいろいろ覚えたのかとも思うけど、私には見当もつかないわ」
 さらにニクスさんの話では、ラムゼスは自分の視野外に隠されたトランプカードの種類や数や絵札も、難なく透視できるという。
 ニクス自身のテストでは、ラムゼスは2桁の数字も含め、38個の数字をすべて的中させたそうだ。
 ハーヴァード大医学部教授を辞め、今はオレゴン州メドフォードでクリニックを経営する神経学者ダイアン・パウエル博士が行った実験でも、隠された数字17個のうち、16個をみごとに的中させた。
「私が調べた限りでは、この子は確かにESP能力の持ち主だ!」
 パウエル博士は現在、ラムゼスを含め、多くの自閉症児を対象とする最先端研究に専念している。
「ひょっとするとテレパシーは自閉症者同士のコミュニケーション手段にできるかもしれないし、現実にそうしているかもしれない。
 自閉症の子を持つ親が必死に求めるわが子とのコミュニケーションに使える可能性もありそうだ」
 博士の考えでは、ラムゼス坊やは世界でも5本の指に入る〝サヴァン症候群〟の天才児である。

スプリット女

 この5月公開されたばかりのホラー大作『スプリット』ばりに、10以上もある人格が入れ替わるたび、多重人格者の女の視覚もスイッチが入り切りするように見えたり見えなくなったりして、治療にあたる医師団を仰天させた。
 現在38歳の匿名のドイツ人女性BTは、1999年20歳のとき、転倒して頭を打ったのが原因で、脳内の視覚をつかさどる部分が機能を失い、専門用語で〝皮質盲(コーティカル・ブラインドネス)〟という眼病を患って失明した。
 13年後、BTは精神科医の治療を受け、解離性同一性障害(以前は〝多重人格障害〟と呼ばれた)でもあることが判明した。
 彼女は年齢も性別も、性格も気質もさまざまな、10人以上の人格を持っていて、何かのきっかけですぐその人格が入れ替わる。
 少女時代前半のある時期、父親の仕事の関係で英語圏で暮らしていたせいか、子供の人格に切り替わったときは、ドイツ語ではなく英語で喋りだすこともある。
 さらに医師の治療を受けている最中でも人格が急に入れ替わり、10代の少年になったとたん、視覚が回復して見えるようになる。
 興味深いのは、10人のうち8人の人格になったときには、視覚が完全に正常に戻ること。
 だが、心理学者ハンス・シュトラスブルガーとブルーノ・ヴァルトフォーゲルが、脳波検査装置でBTの視覚野を調べた結果、とくに損傷はなく、彼女の視覚の喪失は心身相関性と診断している。


(月刊ムー2017年7月号掲載)

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