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パンチェン・ラマ11世ーーチベット独立の鍵を握る奇跡の転生者/本田不二雄

"世界最年少の政治犯" が、25年も不当に拘束されつづけ、その消息のいっさいが明らかにされていないという。
その人の名はゲンドゥン・チューキ・ニマ。
ダライ・ラマが認定したパンチェン・ラマ11世である。
この、チベット最高位の聖職者をめぐる一大事件の背後には、先代パンチェン・ラマの激動にして数奇な運命が深くかかわり、その生まれ変わり(転生者、化身)を捜すという神秘的慣習をめぐって中国とチベットの熾烈な政治闘争が繰り広げられていた。
2020年はその節目の年を迎える。だから今、「パンチェン・ラマ=ゲンドゥン・チューキ・ニマ25年もの不在」が投げかけるメッセージに耳を傾け、その物語をひもといてみたい。

文=本田不二雄
取材協力=ダライ・ラマ法王日本代表部事務所

パンチェン・ラマ11世、25年もの不在

 全国的に自粛期間中の2020年5月下旬、新型コロナ関連の話題がテレビのニュース、ワイドショーを席巻するなか、「ワイド・スクランブル」(テレビ朝日)の番組内で、ある話題が唐突に取り上げられた。画面右上のタグにはこう記されていた。

「激化/米中対立/チベット問題火種に/“パンチェン・ラマ”とは?」

 発端は5月18日、アメリカのポンペオ国務長官が次のような声明を出したことにある。
「チベット仏教徒は、政府から干渉されずに自分たちの宗教指導者を選ぶことができなければいけない。我々は中国政府に対し、パンチェン・ラマの居場所を直ちに公表するよう求める」(アメリカ国務省公式HP)
 これに対し、中国外務省の趙立堅(ちょうりっけん)副報道局長は翌19日にさっそく反論の会見を行った。
 外報記事(AFP)によれば、「この男性は、国の義務教育を受けて大学を卒業し、現在は“普通の生活”を送っている」とし、「(同氏とその家族は)自分たちの普通の生活に、部外者が介入することを望んでいない」と述べたという。
 チベット問題に通じていない多くの視聴者には、たくさんの疑問符が浮かんだにちがいない。番組のボードに「パンチェン・ラマとは?」「なぜパンチェン・ラマに注目?」という“そもそも”な見出しがつけられていたのも当然である。

パンチェンラマ

「Missing for 25years 2020」の一環で配布されている日本語版冊子の表紙(入手、お問い合わせはダライ・ラマ法王日本代表部事務所へ)。

 おりしも、香港の「国家安全法」をめぐる市民と当局者の対立激化や、ウイグルの深刻な人権侵害の報道が伝えられる昨今である。国際政治の文脈では、台頭する中国に対するアメリカの危機感が一連の中国バッシングとなっているようにも思われ、「パンチェン・ラマ」もその追加カードのひとつにすぎないのではという印象もある。

 しかし実のところ、ウイグルも香港もそんな第三者目線ではすまされないシビアな問題を孕んでいる。チベットの問題もまたしかりである。
 ひと言でチベット問題とは、チベット民族に対する中華人民共和国の支配・統治によって生じたさまざまな事象を指す。
 ユーラシア大陸中央部の高原上に分布し、チベット語を話し、仏教を中心とした伝統文化を共有するチベット人は、かつてダライ・ラマを長とし、ラサを本拠とする政府(ガンデンボタン)を中心に緩やかに統合されていた。
 しかし、中華人民共和国の成立とともに開始されたチベット侵攻の結果、1959年にラサ政府はダライ・ラマとともにインドに脱出。北インドに亡命政府を樹立する。

 こうして、「チベット」は完全に中国に併合され、亡命者をのぞくチベット人は少数民族のひとつに位置づけられた。ところが、独自の伝統文化を奉じる「自治区」のチベット人は同化を拒みつづけ、「ひとつの中国」を掲げる北京政府は、今もチベットの文化やアイデンティティを破壊し、人権を抑圧しつづけているといわれる。
 そんななか、チベット人の〝不屈〟を支え、アイデンティティの拠り所になっているのが、「チベット」の神聖王というべきふたりのラマ(ラマとは聖人、導師の意)である。ひとりはいうまでもなくダライ・ラマ。そしてもうひとりがパンチェン・ラマである。

最年少の政治犯による最も古い未解決事件

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