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Qアノン陰謀の現在地とは?/ムー民のためのブックガイド

「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

文=星野太朗

Qアノン 陰謀の存在証明/高島康司 著

アメリカを席捲する「Qアノン現象」を解りやすく俯瞰

 2017年10月28日。アメリカのアングラ系掲示板「4Chan」に、一個の爆弾が投下された。「2017年10月30日……ヒラリー・クリントンは逮捕される Q」という、無気味な内容の投稿である。
 無論、その投稿の「予言」は的中こそしなかったが、これを皮切りに、この「Q」なるハンドルネームの人物はその後も続々と謎めいた投稿を続け、瞬(またた)く間に全米の注目を集めるようになっていく。米国エネルギー庁の最上位の機密情報へのアクセス権限(Qクリアランス)を持つと称する「匿名者(アノニマス)」であることから「Qアノン」と呼ばれるようになったこの人物の投稿は、基本的には陰謀論。だがそこには、実際にQクリアランス権限を持つ者にしか知り得ない極秘情報が多数含まれ、アメリカ政治の水面下に起っている深刻な事態が次々と暴露されていった。
 そしてQは、現在のトランプ大統領が世界を牛耳る「ディープステート」と戦っており、腐敗したワシントン政界を浄化してアメリカを国民の手に取り戻す「アメリカ第二革命」を目指している、と仄めかす。これを信じ込んだQアノン信奉者は、今やトランプ支持層の中核を形成するに至っている、という。
 その他本書では、現在アメリカを席捲している奇想天外な陰謀論の数々が紹介されている(UFOや時間操作の超技術に関するものなど)。これらはじつに面白く興味深いが、あくまでも「Qアノン信奉者」の多くが信じている陰謀論であって、Qアノン自身が言及しているわけではないという点は注意が必要だろう。
 いずれにせよ本書は現在アメリカを席捲する「Qアノン現象」をわかりやすく俯瞰(ふかん)する好著である。著者自身の結論としては、Qアノンとは「トランプ政権そのものが仕掛けたキャンペーン」ということらしい。
 著者の高島康司氏は教育産業のコンサルティングや異文化コミュニケーションの企業研修などに従事するかたわら、多くの著書を世に問うてきた人物。前々回の本欄でご紹介した『これから世界で起きる4つのこと』も氏の著作であり、同書においては今後「アメリカは歴史的な混乱期に突入。国内は分裂し、覇権は終焉を迎える」と予言されていた。本書はある意味でこの予言を、別角度から詳細に補完する著作である。同書に感銘を受けた読者なら、間違いなく本書は「買い」であろう。


原典完訳 アヴェスタ ゾロアスター教の聖典/野田恵剛 訳

『アヴェスタ』の現存部分を原典から日本語訳

「世界最古の創唱宗教」と呼ばれるゾロアスター教。諸説あるが、開祖であるゾロアスターは紀元前1000年ごろに活動したと見られている。善神と悪神の対立を主軸とする二元論的宇宙観や、世の終末には救世主が出現すると説く黙示録的終末観など、ゾロアスター教はのちのキリスト教やイスラム教にも決定的な影響を与えた、きわめて重要な宗教である。
 このゾロアスター教の教典こそが『アヴェスタ』である。これを記述する「アヴェスタ語」は、印欧語族のインド・イラン語派に属する言語であり、紀元前7世紀ごろのイランで用いられていたと考えられている。サンスクリット語(特にその際古層であるヴェーダ語)との近縁関係も強い、難解な古代語だ。
 現存する『アヴェスタ』は本来の量の4分の1程度とされているが、本書はその現存部分のすべてを、原典である「アヴェスタ語」から直接日本語訳した貴重極まりない史上初の労作である。原典の登場以来3000年、ようやく本書によって一般の日本人が『アヴェスタ』の全貌をつぶさに捉えることができる運びとなった。感涙である。
 きわめて専門的な書物であり、価格も税別8800円と高価なので(内容と装幀を勘案すれば十分リーズナブルではあるが)万人にお奨めできるとはいえないが、少なくとも宗教に関心をもつ人ならば、1か月間スマホ断ちをしてでも買い求めるべき必携書である。


皇室の秘密を食い荒らしたゾンビ政体/藤原肇 著

小泉から安倍に続いた醜いゾンビ政治の裏側

 じつに畏るべき書物である。著者は若くして日本国を「脱藩」、グルノーブル大学で構造地質学を学び、米国にて石油開発会社を経営。ペパーダイン大学総長顧問を務める傍ら、ジャーナリストとしても活躍していたという型破りな傑物。処女作の『石油危機と日本の運命 地球史的・人類史的展望』の上梓は何と1973年のことというから、まさに斯界の大ベテランである。
 皇室を初め、内外の無数の有力者たちを読者に持ち、蔵書も3万冊に及ぶという博覧強記ぶりである。
 本書の大半はそんな著者と、落合莞爾の「落合秘史」シリーズでもお馴染みの京都皇統の舎とねり人との対談。
「小泉から安倍に続いた醜いゾンビ政治」の裏側が、稠密極まりない極秘情報とともに赤裸々に語られる。
 さらに本書には初級・中級・達人の3通りの読み方があり、達人の域に達すれば「ヨーロッパの読書人」さながらに「行間を味わう喜悦」が存分に満喫できるという、ほかに類を見ない巧妙な仕掛けが施されている。
 「あとがき」では著者の透徹(とうてつ)した分析力でコロナ以降の世界が読み解かれ、巻末には付録として、著者による独自の幾何学的宇宙論「ホロコスミクス」も収録されている。じつに個性的な文体で、正直、読みやすい本ではないのだが、眼光紙背に徹して行間を読み抜くならば、読者は「日本有数の情報通」になれることを著者は保証している。正真正銘、文字通り現代の奇書である。


モナ・リザと最後の晩餐/下田幸知 著

世界的名画に秘められたメッセージとは?

 映画化もされて全世界でセンセーションを巻き起こしたダン・ブラウンの小説『ダ・ヴィンチ・コード』。あの作品の以前と以後では、レオナルド・ダ・ヴィンチやその作品に関する世間の認識は一変したといっても過言ではない。レオナルドは今や、かつての「ルネサンスの万能人」という人物像に加えて、「古代の秘教に通じた秘密結社の総長」というイメージまで付与されるに至っている。
 本書は、ニューヨーク在住の超一流の画家が、特異な感性と画技を存分に発揮して、レオナルドの代表作「モナ・リザ」と「最後の晩餐」に秘められたメッセージを解読しようとする試みである。とはいうものの、一般的な謎解きノンフィクションというよりも、むしろ気ままな随筆に近い文体と構成で、それが本書の何よりの持ち味となっている。
 40年以上も前からレオナルド作品の模写に没頭してきたという著者の手法は、この「模写」という行為によって「身体が画と合体したような曖昧模糊とした気分」となり、直接レオナルド作品の精髄(せいずい)を感得するという、ほかのだれにも真似のできないもの。その類いまれなる直観力、レオナルドと同じ画家としての共感力を駆使して読み取られる彼の真のメッセージは、「科学上の検証や学術上の研究結果」を遙かに凌駕(りょうが)する。
 全編にわたって女性芸術家の繊細かつ独特な感性が炸裂、型破りで癖はあるが鮮烈な文体とあいまって、不思議な読後感が残る好エッセイだ。


運命を切りひらく「政木フーチ」/政木和也 著

第一生命体からのメッセージを受け取るツール

 政木和三博士といえば、本誌の古参読者ならその名を耳にしたこともあるかもしれない。大阪大学工学部工作センター長を務めた工学者で、生涯に3000件にも及ぶ発明を成し遂げた発明家である。と同時に、また霊的世界の探求者としても知られており、さまざまな超常現象を実際に身を以て体験したという。
「政木フーチ」とは、そんな政木博士が天啓を受けて開発した「本来の自分と繋がり、さまざまな情報を受け取るためのツール」。一見、伝統的な振子による「ダウジング」によく似ているが、この「政木フーチ」の独自性は、政木博士が発見した「この世のしくみ」にもとづいている点にある。その詳細については本書で確認していただきたいが、「政木フーチ」は博士のいう「第一生命体(魂)」からのメッセージを受け取ることに特化したツールなのだ。
 この「政木フーチ」を正しく用いれば、本来の自分のあり方から、過去や未来、体質や健康、さらには寿命まで測定できてしまうのである。しかも、予知した未来がよくないものであった場合、それを変えることすらできるというから頼もしい。昏迷を極める現代社会を生き抜く上で必須の武器といえるだろう。
 著者の政木和也氏は和三博士のご子息で、政木フーチを駆使して政財界の重鎮を初めとする多くの人々にコンサルティングを行っているという。本書にとってはまさしく最良の書き手であるといえよう。


卑弥呼は二人いた/布施泰和 著

長年に及ぶ邪馬台国論争に終止符を打つ

 中国の史書「魏志倭人伝」に記された「邪馬台国」は、まさに日本古代史最大の謎である。この国がそもそもどこにあったのかという根本的な問題に関してすら、21世紀の今日に至ってもなお論争は決着を見ていない。代表的な仮説は「畿内説」と「九州説」であるが、実はこのふたつの説はどちらも正しいし、どちらも間違っている、と著者はいう。
 著者によれば、この論争をややこしくしている要因は記紀にある。日本最古の勅撰正史である『日本書紀』は意図的に「年代をごまかしている」。一方の『古事記』では年代が記されておらず、神々の系図も隠蔽されている、というのだ。
 実は記紀には元来、その原資料とされる『帝皇日嗣』なる「天皇の系譜の記録」が存在していたが、奈良時代に散逸してしまったという。ところが、20世紀末に突然、この『帝皇日嗣』を口伝継承していると称する人物が現れたのだ。第73世・武内宿禰を名乗る竹内睦泰氏である。
 氏の伝える『帝皇日嗣』の極秘口伝こそ、本書でいう『正統竹内文書』だ(いわゆる『竹内文書』とは別物)。この『正統竹内文書』にもとづいて記紀を読み解けば、「記紀のもつ矛盾が雲散霧消」し、考古学的な事実や史実のすべてに整合性がとれるというのである。
 そこで語られる驚愕の古代史の真相には思わず膝を打つ。説得力溢れる著者の緻密な論考は、長年に及ぶ邪馬台国論争に終止符を打つだろう。


眠りがもたらす奇怪な出来事/ガイ・レシュジナー 著

睡眠研究の最先端を手堅く概観できる良質の解説書

 睡眠相後退症候群に夢遊病、レム睡眠行動障害に睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーに睡眠麻痺……。いきなり何だと思われるかもしれないが、これらは本書で採りあげられる睡眠障害の診断名の、ごく一部だ。
 一口に睡眠障害といってもその症例は多種多様であり、なかには睡眠中に料理をしたりバイクを運転したりと活発に活動しながら当人にはまったく記憶がないとか、睡眠中に悪魔に襲われたり幽体離脱をしたとか、かと思えば昼間の活動中に突然眠りに落ちて危うく死にかけたとか、にわかには信じられないような話が本書には続々と登場する。
 著者のガイ・レシュジナーはイギリスのロンドン・ブリッジ病院やガイ病院睡眠障害センターで睡眠障害の治療に従事している神経科医で、睡眠障害の専門家。本書は、著者が直面した実際の症例を採りあげ、それと関連する専門的な知見の解説に繋げていく、という構成である。
 診断技術の進歩や意識の改革によって、ここ最近、睡眠に関する研究は爆発的な発展を遂げている。本書はそんな睡眠研究の最先端を手堅く概観できる良質の解説書だが、個々のエピソードがいずれも好奇心を唆るもので、患者や関係者の生々しい証言や会話が主体となって構成されているため、医療サスペンスドラマのように楽しんで読むことができる。睡眠障害に悩む人はもちろん、睡眠や夢、明晰夢などに興味のある人は必読の名著である。



(月刊ムー2020年12月号掲載)

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