キラキラした球体からの呻き声……/あなたのミステリー体験
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キラキラした球体からの呻き声……/あなたのミステリー体験

お願い! 私たちを助けて! !
悲痛な願いも空しく火災で焼死した母子。
この親子には、とうてい、死を受けいれることなどできないのだろう。
道行く人々に助けを求め、死後も街を徘徊する悲しいふたり連れ……。

イラストレーション=不二本蒼生

全身火傷の親子

◆Sさん(52歳)/静岡県

 親元を離れて都内の大学に通うため、アパートで独り暮らしをしていたころの出来事です。
 ある夜のこと、私は大学のゼミの研究発表を控え、夕食も取らずに資料作りに没頭していました。しかし、さすがに深夜2時を過ぎたころになると空腹に耐えられなくなりました。
 ところが、その日に限って食べ物の買いおきがありません。仕方がないので近所のコンビニまで何か買いにいくことにしました。
 アパートの前の小道を50メートルほど進み、突きあたりの大通り沿いを10分ほど歩くとコンビニがあります。小道から大通りに出た私が目指すのはそのコンビニです。
 日中は車の交通量が多く、歩道も多数の人が行きかう大通りですが、深夜2時ともなれば車の数も少なく、通行人の姿もありません。
 そんな静かな大通りをしばらく歩いていると、100メートルほど先にある角をこちらに曲がって歩いてくるふたり連れがいることに気づきました。そのシルエットから、大人の女性と小学生くらいの男の子かと思われます。
 当然、母親とその子供だろうと思ったのですが、何やらふたりの歩き方が妙です。確かに両足は前後に動いています。しかしその足は地面に着地することなく、まるでふわりふわりと宙に浮かんでいるように見えます。どうしても違和感を拭うことができない私は、そのふたり連れから目が離せなくなりました。
 ふたりはまっすぐに私のほうに歩いてきます。そのうちふたりが近づくにつれて、何やら木材が燃えるような臭いと、何かの薬品が焦げるような臭いが混ざりあったような不快な臭いが漂ってきました。ふたり連れとの距離が縮まるにつれ、ますますその臭いは強くなってきます。
 ふたりが10メートルほど手前まで近づいたときのことです。私は思わず息を飲みました。なぜなら、何とそのふたりの顔・首・腕・脚など、服で隠れていない体の部位すべてが、ひどい火傷を負っていることがわかったのです。
 皮膚はただれ、見るに堪えがたい姿でした。その割になぜか身につけているものは、まったく焦げていません。
“このふたりはヤバイ! !”
 そう感じた私は、とっさにふたりから目を逸らし、あえて何も気づいていないふりをしてふたりの脇を通りすぎようとしました。しかし、その瞬間、母親らしき女性から声をかけられてしまったのです。
「すみません、この近くに消防署があるはずですが……」
 その口調は非常に丁寧かつ穏やかで礼儀正しいものでした。顔に火傷は負っているものの、30代とおぼしき、とてもきれいな女性でした。私は彼女の顔を注視しないようにしながら消防署までの行き方を詳しく教えると、そのまま何事もなかったかのように別れました。
 そして数十秒後、ある予感がして振りかえると、あの親子連れの姿はすでに大通りのどこにもありませんでした。
 翌朝、テレビで、前夜、市内で起きた火災のニュースを見ました。死者がふたり出たとのことで、聞けばその特徴はどう考えてもあの親子連れでした。
 私は改めて昨夜の親子の冥福を祈りました。

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キラキラ球体からウウウ

◆Tさん(51歳)/栃木県

 私は若いころからひとり気ままに温泉めぐりをすることを趣味にしていました。
 そんな温泉めぐりで、20年ほど前、隣県に位置するとある温泉宿に行ったときのことです。
 その宿は山を30分ほど登った山間(やまあい)にある、ひなびた小さな温泉宿でした。季節柄だったのか、その日の客は私ひとりでした。
 夕刻、宿に到着した私は、小鳥のさえずりの聞こえる露天風呂でひとりノビノビと湯を浴びました。部屋に戻ると、もう夕食のしたくができています。
 山菜づくしの料理を肴さかなにビールを飲み、夕食をいただくと、やがて眠気が襲ってきました。昼間の疲れが出てきたのでしょう。敷いてもらった布団に潜りこむと、私はすぐに眠ってしまったようです。
 それから、果たしてどれくらい眠ったころでしょうか。庭のほうで何やらドンッと、重いものでも地面に落ちたような音がして、ハッと目を覚ましました。
 今のは何の音だったのだろうと気になったため起きあがり、窓を開けて外を覗いてみました。しかし、庭に人影はなく、シーンと静まりかえっています。何となく不審に思いながらも私は布団に戻り、そのまま再び眠りにつきました。
 翌朝、庭に出て、昨夜、物音がしたあたりを何気なく眺めていたときのことです。池のすぐ近くで、何やらキラキラと光っているものがあることに気づきました。
 気になり、見にいったところ、それは握り拳(こぶし)ほどの大きさの透明の球体(ガラス玉?)で、朝の光を浴びてキラキラと光っています。
 思わず手に取ってみると、意外にズシリと重量感があります。しかも掌(てのひら)に吸いついてくるような不思議な感触があります。
 何となく無気味に思った私は、そのままそれを生垣(いけがき)の横を流れる溝の中に投げすてました。
 その夜、かなり遅くなったころのことでした。宿の部屋でボンヤリとテレビを眺めていると、どこからかウウウ……という呻(うめ)き声のようなものが聞こえてきました。どうやら窓の外からのようです。それもあの奇妙な球が落ちていたあたりから聞こえてきます。
 気味が悪くて仕方ありません。窓を開けて外を覗いてみる気になどなれない私は、両耳にイヤホンを押しこみ、テレビの音を聞きながら寝ることにしました。
 そして翌朝。昨日、自分があの球を投げすてた溝のところまで行ってみました。球は昨日のまま、溝の中に残っていました。
 私はその球を拾いあげ、水道水できれいに洗いました。どうしてそんなことをしたのかは、自分でもよくわかりません。
 するとそのときでした。いきなり背後からだれかの声が聞こえてきたのです。それは男性の声とも女性の声とも取れるような、ちょっと奇妙な声でした。
「ありがとう」
 そう確かに聞こえました。
 驚いて振りかえると、ほんの一瞬ですが、何か白いモヤのようなものがサーッと私の目の前の宙を横切って消えました。
 そんなことがあっては、その球をそのままにしてはおけません。私はこっそりと球をバッグに入れて持ちかえり、神社の宮司(ぐうじ)をしている伯父に預けました。以来、伯父は今でもその不思議な球を社殿の奥に安置してくれています。

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チワワのお礼

◆Kさん(59歳)/群馬県

 以前、うちの近所に独りぐらしのおじいさんが住んでいました。
 高齢のため、しばしば体調を崩し、近くの病院に入退院を繰りかえしていたおじいさん。そのたび、おじいさんの飼い犬である白いチワワのハナちゃんを私の家で預かり、面倒を見てあげていました。
 隣町におじいさんの娘さんがいたのですが、どうやらその娘さんとはあまり仲がよくなかったようで、入院が決まるとすぐに犬好きのわが家にハナちゃんの世話を頼んできていました。
 ある日、そのおじいさんが自宅で倒れ、救急車で病院に運ばれていきました。そして、そのまま亡くなってしまったのです。
 残されたチワワのハナちゃんはどうなるのだろう。わが家で引きとって飼ってあげようか、などと勝手に心配していました。しかし、その日のうちにおじいさんの娘さんがハナちゃんを隣町の自宅に連れて帰ったと聞き、ホッとしたものでした。
 ハナちゃんは新しい飼い主さんになついているだろうか、可愛がられているだろうかと、気にかけているうちに2年ほどがたちました。
 そしてある日のことです。玄関先にだれかが来たような気配があったので、玄関まで出向き、何気なく戸を開けたところ、なんと足下に小さな透明の犬が立っていました。
“……ハナちゃん!?”
 一瞬、ガラス細工かと思ったほどで、キラキラと輝いているその姿は、どう見てもハナちゃんでした。
 そのあまりにも予想外の出来事にびっくりしていると、次の瞬間、ハナちゃんが私の足下を通りぬけて、タタタタッと家の中に走りこんでいきました。
 驚きながらもあわてて後を追いかけたのですが……どこへ行ったものかハナちゃんの姿が家の中のどこにもありません。
 しばらくハナちゃんの名前を呼びながら家中を捜しまわった後、私は察しました。ハナちゃんは死んだのだと。
 ハナちゃんの正確な年齢までは知りませんでしたが、もうかなりの高齢だったことは確かです。きっと寿命だったのでしょう。
 その夜のことでした。眠っている自分のそばに何かの気配が近づいてきたのを感じて、ふっと目を覚ましました。
 目を開けて周囲を見ると、何とハナちゃんです。私が目覚めたのがわかったのか、ハナちゃんは何やら嬉しそうに私の胸元まで上ってきて、ペロペロと私の顔を舐(な)めはじめたのでした。
 ところが……そんなハナちゃんに私が手を伸ばそうとすると――その瞬間、スーッと消えてしまったのでした。
 自分は夢を見ていたのかと思いました。しかし、私の顔のあちこちには今もハナちゃんの小さな舌の感触がはっきりと残っていました。それは生温かくて、何とも懐かしい感触でした。
 きっとハナちゃんは隣町に移ってからも、ずっと私のことを忘れずにいてくれたのでしょう。そう思うと急に胸が締めつけられて、自然に涙があふれました。
 それからしばらくして、近所の友人から改めてハナちゃんが死んだことを聞きました。その友人の話によれば、ハナちゃんは隣町のおじいさんの娘さん家族にもずいぶんと可愛がられていたそうです。それを聞き、私はホッとするとともに心から嬉しくなりました。

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すぐそこにある不思議


死後、守護霊となり子供を見守りつづける母親
◆Tさん(62歳)/岩手県 
 今から15年前の夏のある日の午後でした。昼寝をしていた私は、玄関のチャイムの音で目を覚ましました。玄関に行ってみると、何と私が13歳のころに亡くなったはずの母が立っていました。
 驚きのあまり言葉を失い、その場に立ちつくしてしまった私。そんな私に向かい、母はにこやかに笑いかけながら、
「変わりない?」
「ずいぶん年を取ったねえ」
 などとあれこれ懐かしそうに話しかけてきました。さらに、
「守護霊となっていつも見守っていてあげるからね」
 といって、優しい笑みを浮かべたのでした。
 そして私が口を開く前に、
「体に気をつけてね」
 といい、名残惜しそうな笑みを浮かべたままスーッと姿を消してしまったのです。
 あれから15年もたったのに、まるで昨日の出来事のようにはっきりと覚えています。
コンビニの入り口に立っていた女性が、次の瞬間、忽然と消失
◆Yさん(41歳)/山口県 

 コンビニでアルバイトをしている友人から聞いた話です。
 ある夜、店長から夜勤を頼まれた彼女が、ひとりで店番をしていました。
 深夜になり、雨が降りだしました。そのせいか客の姿もすっかり途絶え、時間だけが静かに過ぎていきました。
 そんなときです。店の入り口のガラスドアの向こうに、ワンピースを着た女性のシルエットが浮かびました。友人は当然、その女性が店内に入ってくるものと思い、ジッとドアを見つめて待ちました。
 ところが、いつまでたってもなぜかその女性が入ってきません。何をしているのだろう、変だなと思った友人は、カウンターを出てガラスドアを開けてみました。しかし、そこにはだれもいません。道路の左右を見まわしても、それらしき女性の姿はありませんでした。
 不思議に思いながらも友人がドアを閉めて店内に戻ってみると――どういうわけか床一面がグッショリと濡れていました。以来、友人は夜勤のアルバイトは断っているそうです。


小林世征の心霊相談室

 火災により絶命したものの、その事実を受けいれられずに助けを求めて街をさまよう痛ましい母子の姿……。
 Sさんが出会った親子のように、焼死や事故死した人はなかなか成仏できません。思いもよらず、突然、生を断たれたわけですから無理もないことです。30年ほどが経過した今でも、この母子が火災現場付近をさまよっている可能性は高いでしょう。
 かつて母子が住んでいた火災現場が、現在どのようになっているのかが気になります。更地(さらち)にし、新しい住居が建ったのでしょうか。今、そこに住む人たちは安泰な生活を送れているでしょうか。健康面に不安はないか。謎の異臭を感じることはないか。霊現象に苛(さいな)まれていないか。心配がよぎります。
 万が一、そのようなことがあれば、信頼できる人にお祓(はら)いしてもらうのが一番の解決策です。そうして、この親子が一日でも早く成仏できることを願って止みません。
 昼寝をしていたTさんの元に、亡くなったお母さんがやってきました。
 当時、Tさんは運気が下降ぎみだったり、健康面に不安があったり、トラブルに見舞われる可能性があったのかもしれません。実際には、本人すら気づかないまま、それらを回避できました。守護霊であるお母さんが守ってくれたおかげです。赤の他人では守護霊にはなりえません。身内とは何とありがたい存在でしょうね。


(月刊ムー2020年12月号掲載)

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