
ロンドンで「きさらぎ駅」現象!? ヴィクトリア駅から1980年代に迷いこんだ僧侶/遠野そら・MYSTERYPRESS
地下鉄に乗っていたら、降りた駅が1980年代の風景だった……! イギリスで起きたタイムスリップ体験報告は、「きさらぎ駅」現象を思わせる。はたして鉄道、地下鉄と異世界の関係は?
文=遠野そら #MYSTERYPRESS
ヴィクトリア駅から1980年代へ迷い込む
仏教の僧侶をしているボール・デブリンは、いつものようにロンドン地下鉄で「ヴィクトリア駅」へと向かっていた。いつもと同じ電車に乗り、いつもと同じ駅で降りる。”何気ない1日を過ごす”。そのはずだったのに、ポールはなぜか”現実とは違う世界”へ迷いこんでしまったという。
この日、ヴィクトリア駅へ到着したポールは、混みあっていた車内から吐き出されるかのようにホームへ降りた。
「おかしいな。ヴィクトリア駅だろ?」
ラッシュアワーの時間帯にも関わらず、人がまったくいないのだ。イギリス・ロンドンにあるヴィクトリア駅は主要ターミナル駅の1つで、構内にはマーケットや飲食店が並び、周辺住民や観光客で常に賑わっているはずなのに。
不思議に思ったポールだったが、いつもように構内を進んでいくと、なんだかエスカレーターが妙に新しい。
「いったいどうなってるんだ?」
あたりをきょろきょろと見回しながら、登りエスカレーターに乗ると、反対側から若い男性が1人だけ降りてくるのが見えた。男性はデニムのキャップにGジャン、とまさに1980年代に大流行した服装をしており、昔のファッションがリバイバルされ流行することがあるが、現代の“それ”とは全くの別物で、まさに1980年代の当時の服装だった。
「どうなっているんだ?」
人のいないエスカレーター。奇妙な服装の男性。不思議に思いながらもエスカレーターに乗っていると、構内にはないガラスのドームがある広場に到着したのだ。
「ここはヴィクトリア駅じゃないのか?」
だが、ヴィクトリア駅で下車したことは間違いない。ポールは、“すぐに現実の世界に戻らないと、2度とここから出られなくなる”と感じ、やみくもに動かず、来た道を逆戻りすることにしたのだ。
そこでまずポールは、ヴィクトリア駅の隣の「ピムリコ駅」まで電車に乗り引き返すことにした。ホームへと戻り、ピムリコ駅行きの電車に乗ったが、車内はガラガラで誰もいない。
だが改めてヴィクトリア駅へと向かう電車に乗ると、誰もいなかった車内に次々と乗客が現れ、駅に到着するころには混雑した状態になっていたーーという。