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『帰ってきた魔界村』で甦る騎士と悪魔と姫の神話/卯月鮎・ゲームー案内

書評家・ゲームコラムニストの卯月鮎がオカルト、超常現象、不思議が詰まった話題のゲームをムー的に紹介。このゲーム、ほかとはひと味違う!

文=卯月鮎 #ゲームー

『帰ってきた 魔界村』

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懐かしの『魔界村』が帰ってきた!

 2021年2月に配信が開始された『帰ってきた 魔界村』は、初代『魔界村』と2作目『大魔界村』をモチーフにしたシリーズ最新作。横スクロールアクションの懐かしいプレイ感はそのままに、絵巻物のようなグラフィックの質感が新鮮なタイトルです。

 ファミコン時代もその難易度の高さからファミっ子を大いに苦しめましたが、帰ってきた新作も相変わらず歯応え抜群で実況動画も人気となっています。2人協力プレイができるのもポイント。それでは、世界観をムー的キーワード3つで見ていきましょう。

アーサー王

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槍を投げて魔物を退治する主人公のアーサー。

『魔界村』シリーズの主人公といえば騎士アーサー。敵にやられると鎧が外れ、パンツ一丁になるのが印象的です。

 アーサーという名前から連想されるのがイギリスの伝説的な騎士王のアーサー。12世紀頃の伝承をまとめた歴史物語『ブリタニア列王史』には、5~6世紀頃に侵略者のサクソン人を撃退しブリテンを統一した王として描かれ、その後、数多くの叙事詩で謳われる英雄となりました。
 アーサー王の剣である聖剣「エクスカリバー」もおなじみ。2017年にはイギリス・コーンウォールのドズマリー湖で泳いでいた7歳の少女が、湖底に沈む古い剣を見つけ「聖剣エクスカリバー発見か!?」と騒がれました。この地でアーサー王は「湖の乙女」にエクスカリバー(※石に刺さっていた剣とは別物)を与えられ、最期に湖に剣を返したとされています。

 では、アーサー王は実在したのか、しないのか。これにはさまざまな説があります。アーサー王は伝説では「アヴァロン島」へ渡って眠りについたとされています。しかし、実際にはアヴァロン島という島はなく、イングランド南西部のグラストンベリー近郊にある、島に見える円錐形の丘ではないかと推測されています。12世紀にその近くの修道院で「アーサー王の墓」も発見されてはいますが、これは捏造という線が濃厚……。伝説はいまだ伝説のままです。

ガーゴイル

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巨大ボスなど多くのモンスターたちが魔界で待ち受ける。

 初代『魔界村』でトラウマ級の強敵といえば「レッドアリーマー」。今回の『帰ってきた 魔界村』でも厄介な存在です。ちなみにこのレッドアリーマーの名前は『魔界村』のプログラマー・有馬敏夫さんが由来だとか。

 背中に翼を持った姿や、近づくと動き出して襲ってくるという特徴は、動く石像の悪魔「ガーゴイル」を思わせます。
 もともとガーゴイルは、ゴシック建築の大聖堂の壁に設置された雨樋の機能を持つ怪物像。「のど」を指すラテン語「gurgulio」から派生したフランス語の動詞「gargariser」には「うがいをする」という意味があります。「ガーゴイル」もこの言葉に由来します。
 ガーゴイルというと、デンバー国際空港の公式YouTubeチャンネルが2019年に公開した「しゃべるガーゴイル像」の動画が話題となりました。これは、空港にあるガーゴイルの石像が乗降客に話しかけるというドッキリ動画。
 アメリカ最大級の規模を誇るこの空港は、不気味な青い馬の巨像、なぜかフリーメーソンのマークを刻んだ石板、そして手荷物検査場に設置されたガーゴイルの石像……といわくつきのオブジェが多く、「実は秘密結社イルミナティの本拠地ではないか」とささやかれています。

囚われのプリンセス

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魔界へ連れ去られてしまうプリンセス。

 初代『魔界村』と同じく、今回の『帰ってきた 魔界村』でも、冒頭のデモシーンでプリンセスが悪魔に連れ去られてしまいます。

 テレビゲームでしばしば見られる、囚われた姫を勇者が助け出すという展開は神話にまでさかのぼれます。ギリシア神話の勇者ペルセウスはメデューサを倒した帰りに、いけにえとして海の怪獣に捧げられていたエチオピアの王女アンドロメダを助けました。
 このパターンを比較神話学では「ペルセウス・アンドロメダ型神話」と呼び、不思議なことに世界中に類型が存在するのです。たとえば古代インドの大長編叙事詩『ラーマーヤナ』では、ダンダカの森で王子ラーマが美しい鹿を捕まえに行っている間に、魔王に妃のシーターがさらわれてしまいます。

 こうした神話・古典の物語パターンが、デジタルで構築された現代のゲームにまで引き継がれているのは非常に興味深いですね。


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