
古代マヤ文明と太古宇宙飛行士説を結ぶ”異星人オーパーツ”群/南山宏
2018年、考古学界において画期的かつ衝撃的な報告がもたらされた。
なんと、6万を超える太古のマヤ遺跡群が、最新技術を使った調査により発見されたのだ! これらは、宇宙考古学者たちが提唱してきた、古代マヤ文明の「太古宇宙飛行士」説の有力証拠となる可能性を秘めている。
滅亡予言の2012年に先駆けて緊急公開された“異星人土偶”などのオーパーツ情報もあわせて紹介しよう。
文=南山 宏
〝LIDAR”技術で発見された古代マヤ遺跡群
「私が思うに、これはマヤ考古学150年の歴史上、最高最大の画期的収穫といえるのではないだろうか。大げさに聞こえるかもしれないが、この“ライダー画像”を初めて見た瞬間、私はあまりの感動に体が震え、熱い涙が込み上げてきた!」
英BBC記者にインタビューされたとき、そんな感激的なコメントを思わず漏らしたマヤ考古学専門家は、米東海岸の名門ブラウン大学のスティーヴン・ヒューストン考古学・人類学教授だ。
ふだんは冷静なはずの科学者の心をそこまで揺さぶった“LIDAR(ライダー)”とは、「光(またはレーザー)検出と測距」という英語フレーズの頭字語(アクロニム)である。
"ライダー"技術は6万か所超の隠されていたマヤ遺跡を見つけだした。
小難しそうな専門用語だが、要はコウモリが超音波エコーを使って、狭い場所でも巧みに障害物を回避しながら飛び回れるのと、基本的には同じ理屈だ。
レーダーで使われる電波をもっと波長の短い光に置き換えた“ライダー”リモートセンシング技術そのものは、すでに20世紀後半から実用化されていたが、その後電子工学的な進歩改良が大きく加えられたおかげで、今では邪魔な樹木や雑草を自動的にデジタル消去して、地上に存在する固形物だけを捉えた鮮明で立体的な3Dカラー画像を生みだせるようになっている。
ライダー航空調査の模式図。
2018年が明けて早々、かつては古代マヤ文明が繁栄していたが、現在は住む人もほとんどなく、ただ鬱蒼とした熱帯雨林に覆われているメソアメリカ(中米)のグアテマラ北部一帯が、この最新の“ライダー”技術を使って航空調査が実施された結果、当初の期待をはるかに上回る大きな成果がもたらされた。
なんと少なくとも6万か所をゆうに超える古代マヤ文明の石造遺跡群が、メソアメリカ特有の蒸し暑い熱帯性雨林の分厚いベールに隠されたままひっそり眠っているという、まさに世界を驚かせる考古学的な新事実が明らかにされたのだ!
"ライダー"技術は写真左側のジャングルをデジタル消去して、地表の建造物をむきだしにする。
6万か所にわたって太古の昔から眠る古代マヤ遺跡。
それほど莫大な数の“遺跡”群が、もし住居や神殿や公共施設などのいわゆるインフラ(生活や産業の基盤)を意味するなら、そこまで大発展を遂げた古代マヤ文明を担っていたマヤ人は、少なくとも100万人ぐらいはいたかもしれない。
"ライダー"技術が露出させたマヤ遺跡群(グアテマラ北部)。
ブラウン大学の考古学・人類学教授スティーヴン・ヒューストン。
古代マヤ観を覆す高度文明国家
国連が発表した最新の「世界人口白書」によると、現在の世界人口はついに75億を突破したらしいが、同じ白書は紀元前7000年から前1000年の間の世界人口は、500万から1000万人へと漸増を続けていたとする。
そして世界人口が億の大台に乗ったのは西暦が始まったころであり、それ以降は算術級数的になだらかな増大曲線を描いてきたものと推定されている。
この公式統計が正しければ、古代マヤ文明の人口を100万人ぐらいと見なすのは、それなりに妥当な数字かもしれない。
いずれにせよ古代マヤ文明は、ややもすると私たちが抱きかねないイメージ―—先住民が狩猟や漁撈や農耕の素朴な生活を営みながら細々と暮らしていた原始的な文明などでは決してなかった。
古代マヤ人は、モダンアートと錯覚しそうなほど美しくユニークなデザインのマヤ聖刻文字で碑文を記し、現代天文学にも劣らぬ厳密正確な天文観測に基づいて作成した、そのまま現代の地球上でも通用する幾通りかの暦を、毎日の生活で使いこなしていた。
仮に現代世界に置き換えたとしても、一個の文明国として立派に通用するような、同時代の古代世界きっての高度文明国家だったと、私たちは敬意をもって認めなければならないのだ。
「遺跡が6万か所も探知されたというのは、従来の古代マヤ観を根底から覆くつがえす大発見だ。この古代文明はこれまで考えられていた以上に、その偉大さがおそらくひと桁上回る―—すなわち十層倍も偉大な高度文明だったと見直さなければならない!」
マヤ文明“ライダー航空調査”プロジェクトに協力したマヤ学者のひとり、アメリカ独立革命以前に建学された由緒ある私立イサカ大学(ニューヨーク州)の人類学・考古学者トーマス・ガリソン教授は、BBC記者にそう強調する。
「世界的に知られる古代のエジプトやインドや中国の諸文明と比べても、いささかの遜色もないスケールの古代文明だったといっていい。古代マヤ文明はこれまであまりにも過小評価されすぎていたようだ。私はそう断言する!」
イサカ大学の人類学・考古学教授トーマス・ガリソン。
ライダー調査チームの一員で、やはり建学180年を誇るテュレーン大学(ルイジアナ州)の考古学者フランシスコ・エストラダベッリ教授も、「ナショナル・ジオグラフィック」誌にインタビューされて、感慨深げに述懐する。
「ライダー技術は、ハッブル宇宙望遠鏡衛星が天文学に革命をもたらしたのと同じ意味で、現代の考古学に革命をもたらす画期的テクノロジーだ。だが、この最新技術で得られる全データを解析し終わって、われわれが自分たちの見たものを真に理解するようになるまでには、あと100年はかかるだろう」
ライダー調査チームのテュレーン大教授フランシスコ・エストラダベッリ。
エストラダベッリ教授がそんな感慨を抱くのも、ある意味無理はない。
この画期的なライダー技術が出現するまでは、考古学者たちが発掘調査の努力をこつこつと重ねて遺跡を地図化するのは、並み大抵の苦労ではなかったからだ。
たとえば、同じグアテマラ北部のジャングルの中で、エルゾッツと呼ばれるマヤ遺跡の発掘調査を、考古学者たちは長年にわたって地道に続けてきた。だが、今回のライダー航空調査のおかげで、地上のエルゾッツ発掘調査隊がまだ未発見だった全長数キロに達する長大な防御壁が、空中から難なくあっさりと発見されたのだ!
「もちろん、最終的にはおそらく地上のわれわれも、この防御壁が護る丘上の城砦に辿り着くことにはなっただろう。だが、2010年の時点で、私はこの城砦からわずか50メートル以内にまで近づいていたのに、何も見つけられなかったんだよ!」
発掘調査団の一員だった前出イサカ大のガリソン教授は、ウェブサイト「ライヴサイエンス」の記者にそう嘆いてみせたものだ。
異端派マヤ学者の太古宇宙飛行士仮説
過去150年のマヤ考古学上の定説では、古代マヤ文明は紀元前2000年ごろに勃興して、現在のメキシコからグアテマラにかけた一帯に支配を拡げながら、大いに発展した。西暦紀元後も1000年以上隆盛と繁栄を誇ったが、やがてしだいに衰退し、1500年代に入ると後継のアステカ文明に取って代わられた。
西暦紀元後も1000年以上隆盛と繁栄を誇ったが、やがてしだいに衰退し、1500年代に入ると後継のアステカ文明に取って代わられた。だが、そのアステカ帝国もわずか100年足らずで、スペイン人征服者(コンキスタドール)たちの非情な侵略と残虐な暴力によって、16世紀には滅亡に追い込まれてしまったのだ。
前出のマヤ学者エストラダベッリ教授は、6万か所以上のマヤ遺跡を新発見という今回の最新情報を根拠に、これだけ多数の遺跡を残せたからには、最盛期の古代マヤ文明の人口は従来の100万人説どころではなく、少なくとも1000万人から1500万人はあったにちがいない、と大胆に見積もっている。
とはいえ、今回の6万か所以上のマヤ遺跡発見のニュースを知って、おそらく主流マヤ学界の考古学者たち以上に内心喜んだのは、これまで長い歳月、主流派から冷たくあしらわれてきた異端派のマヤ学者たちかもしれない。
異端派ーーいわゆる“太古宇宙飛行士”仮説を提唱する宇宙考古学者や研究者たちのことだ。
太古、地球外知的生命体―—平たくいえば“異星人”が、地球の生物相に何らかの形で直接的あるいは間接的に干渉し、結果的に人類の誕生とその文明の創生・発展に関与した可能性を検証する異端的な研究分野である。
このきわめてSF的発想の源流をどこまでも遡れば、超常現象研究の父祖と呼ぶべきアメリカのチャールズ・フォートの“人類家畜”説に行き着く。
だが、“太古宇宙飛行士”仮説の直系的パイオニアとしては、ロシア(旧ソ連、のちにアメリカに亡命)の数学者マテス・メンデレヴィッチ・アグレストがいる。
だが、“太古宇宙飛行士”仮説の直系的パイオニアとしては、ロシア(旧ソ連、のちにアメリカに亡命)の数学者マテス・メンデレヴィッチ・アグレストがいる。
"太古宇宙飛行士"仮説のパイオニア的主張者マテス・メンデレヴィッチ・アグレスト。
そして同じ“太古宇宙飛行士”仮説の発想を引き継いで世界に広めたセールスマン的存在が、世界的ベストセラー『未来の記憶』シリーズのエーリッヒ・フォン・デニケン(スイス)であり、『地球年代記』シリーズのゼカリア・シッチン(ロシア出身のちアメリカ)なのである。
"太古宇宙飛行士"仮説の先駆的主張者エーリッヒ・フォン・デニケン。
デニケンと並ぶ"太古宇宙飛行士"仮説の主張者ゼカリア・シッチン。
現在の段階でまだまったく未調査の手つかず状態に置かれたマヤ遺跡が、驚くなかれ6万か所もあるというのなら、ひょっとしてその中には、彼ら異端派マヤ学者たちの主張の正当性を裏づけ、彼らにとって有利に解釈できそうな新たな“証拠”を秘めた遺跡が発見される可能性も、大いにありそうだ。
それにしても、古代マヤ文明が“太古宇宙飛行士”仮説とどんな関係にあるというのかと、ひょっとしたら奇妙に思われる方もおられるかもしれない。
そこで筆者は、いささか私事に踏み込んでお話ししなければならないことを、読者のみなさんにはお許し願いたいと思う。