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「日本の呪術」ほか7選/ムー民のためのブックガイド

ムーPLUS

日本の呪術 繁田伸一 著

日本における呪術に関するあらゆる情報をコンパクトに凝縮した百科全書!!

エムディエヌコーポレーション/1100円(税込)

 呪術とは何か。著者によればそれは、「思いをかたちにする技術」であり、「日本史の重要な小道具」でもある。古くは平安時代から令和の現在に至るまで、日本には呪術があふれている。ゆえに「これを無視したままで日本の歴史を語ること」は「ナンセンス」と著者は断ずる。
 本書は、そんな呪術マニアの歴史家である著者が、主として平安時代を舞台に「多様な呪術者たちが駆使した多様な呪術を、可能な限り詳しく」紹介する、全呪術ファンの必携書である。
 ひと口に呪術といっても、さまざまなものがあるが、なかでも「呪詛」と呼ばれるものは、要は「呪殺」であり、他者を害するために用いられる。本書の第1・2章で取りあげられるのはこの「呪詛」、特に陰陽師が駆使したそれである。呪符や呪物、そして式神など、陰陽師の呪詛にまつわる観念は広く知られているが、はたしてその実態とは?
 そして、陰陽師と並ぶ平安時代の呪術師のもう一方の雄が、密教僧である。第3・4章の主題は彼らだ。本来は、人を救う存在であるはずの密教僧。だが実際には、あの弘法大師空海にしてからが、堂々と呪詛を駆使している。のみならず、なかには自らを生け贄として呪詛のエネルギーを最大化し、死後には怨霊と化すという、物騒な密教僧までいたというから驚く。
 続く第4・5章では、巫と法師陰陽師、その他の多彩な呪術が紹介される。「可能な限り詳しく」という、うたい文句に偽りなし。文字通り、呪術に関するあらゆる情報を、コンパクトに凝縮した百科全書である。各章の終わりに、「家庭の呪術」と題して、だれもがすぐに使える手軽な呪術が紹介されているのも、ポイントが高い。
 著者の繁田信一氏は、神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員。歴史民俗資料学を専攻する本物の学者であるが、妖怪や神仏の実在を願う「希望的オカルト否定派」である。そんな著者が学生時代、平安時代の陰陽師に興味を抱き、これを専門に研究するようになったきっかけは、何と荻野真の漫画『孔雀王』であったという。
 ひとりの優秀な学生の人生を決定的に変え、そしてこのような素晴らしい啓蒙書を、われわれのもとに送り届けるのに、ひと役買ったのであるから、漫画の力、侮りがたし。

稀代の陰陽師、安倍清明公の肖像画(京都清明神社所蔵)。
陰陽師がト占で使う、六壬式盤(京都文化博物館所蔵)。

精神科医の悪魔祓い 
リチャード・ギャラガー 著/松田和也 訳

悪魔たちとの闘いに、思わず身震いさせられる

書刊行会/3080円(税込)

 ある意味、今月の本欄において、最もハードな一冊である。
 著者リチャード・ギャラガー博士は、アメリカを代表する優秀な精神科医。卓越した知性と科学的知見の持ち主である彼のもとに、とあるキリスト教の司祭から、奇妙な依頼が舞い込んだ。この司祭が担当する女性が、「悪魔に取り憑かれている」というのだ。はたして事実なのか、それとも単なる精神病なのかを、診断してもらいたい、と。
 そして精密な検査の結果、彼女は精神病ではなく、実際に悪魔に憑依されていることが判明したのである。
 これをきっかけに、優秀な精神科医である著者は、いやおうなしに悪魔たちとの闘いに巻き込まれていく。本書は、悪魔の実在とその攻撃の実態を、明晰な文体で説き明かした衝撃のノンフィクションだ。
 実際に著者が悪魔と闘い、憑依を受けた人々と対峙する場面は、臨場感・迫力ともに満点で、思わず身震いさせられる。とはいうものの、精神医学的な考察の部分は(専門家としての矜恃であろうが)用語といい論旨といい相当に難解で、それ相応の知識も要求される。
 特に、実際の悪魔とは直接関係のない「抑圧された記憶」の解説などは、なくてもよいのではないかと感じた。アメリカという社会にとっては、深刻で切実な問題なのかもしれないが、日本ではその限りではない。正直、読み飛ばしても差し支えないと思われる。

THEX-MAN FILE Q
ジョン・デソーザ×JOSTAR 著

ヘビーな内容を、ポップでキッチュな陰謀論に

ヴォイス/1760円(税込)

 本書において、ホストを務めるジョン・デソーザ氏は、元FBI特別捜査官。20年以上にわたり「超常現象やテロ事件、凶悪殺人事件などの捜査」に従事した。TVドラマ『Xファイル』の主人公モルダー捜査官のモデルだけあって、アメリカ政府が隠蔽する、裏の裏の秘密情報にまで精通しているという。氏の前著『ディスクロージャーへ』は、過去に本欄でもご紹介した。
 今回、このデゾーザ氏と対談するのは、YouTuberとして活動するJOSTAR氏、直家GO氏、そして岡本一兵衛氏の3名。いずれもあの「Qアノン」の信奉者である。
 そんなわけで、話題はもっぱら謀論なのであるが、すでにテレポーテーションは実用化されていて、火星との行き来に用いられているとか、地球内部に「太陽系がまるごと収まるくらいの」空洞があるとか、内容はともかくブッ飛んでいる。
 使われている、アメリカンなコミック風テイストのイラストといい、芝居がかったポーズの写真といい、YouTube時代の、ポップでキッチュな陰謀論とでもいおうか、評者のような頭の固い古株マニアには、正直、ついていけないノリである。
 だがそれは、当然ながら意図的なもので、「ヘビーな内容でもなるべくエンターテインメントやパロディの方向に持っていき、いざというときのために、逃げ口をつくって」いるのだという。何ともしたたかな戦略であるといえよう。

科学で証明するパワーストーン入門
伊藤麻美 著

パワーストーンは「補完代替医療」の一種である

ユサブル/1760円(税込)

 「パワーストーン」というと、日本では、もっぱらオカルトや霊感商法などのイメージが付きまとうが、著者によれば、本場である欧米では、すでに「補完代替医療」の一種として認知されており、国によっては保険まで適用されているという。
 本書は、そうした観点からパワーストーンの使い方を伝授する入門書。ちなみに、タイトルこそ「パワーストーン」であるが、どうもこれは和製英語であるらしく、本場では通じないという。そこで本文中では、一貫して「天然石」という呼称が用いられている。
 全体6割近くを占める第1部では、振動や波の法則、宇宙理論、さらには量子力学と、さまざまな角度から「科学的」に見た天然石の原理やその仕組み、魅力などを徹底解説。人間は「物質的な肉体と感情や意識が異なるエネルギーで構成されており、これが停滞、不均衡、またはブロックされると、病気を引き起こす」「天然石は最も必要な場所でエネルギーのブロックを解除」するという。
 続く第2部では、科学からはいったん離れ、天然石と人体の「チャクラ」の関係を概説。第3部では、73種類に及ぶ天然石を、美しいカラー写真で紹介。その効能や使い方を詳細に解説する、いわば「天然石の事典」。最後の第4部はQ&Aのコーナーで、読者の細かい疑問に答えていく、という至れり尽くせりの構成である。本書一冊で、天然石の理論と用法はあらかた習得できるだろう。

宇宙人革命
竹本 良 著

「宇宙人の正体」が明かされる! ?

青林堂/1760円(税込)

 「宇宙は虚数でできている」、という定言から、本書は始まる。イキナリそんなことをいわれても、凡人としてはひるんでしまうしかないが、それに続いて明かされるのが、何と「宇宙人の正体」。そこからはまさに怒濤の展開で、回収UFO、ディープステイト、古代文明、銀河連邦、陰謀論と、にわかには信じがたいような話題が、さも当然のように、淡々と語られていく。
 本誌の読者なら、いずれも一度はどこかで、聞きかじったことがあるのではないかという話のオンパレードではあるが、このようにまとめて提示されると圧倒的であるし、何より便利でもある。著者の説く「宇宙人革命」、それは「文化や文明のレベルを超えて、人類史の範疇の大変革」であり、「コペルニクス革命よりも数段大きな転換」であるという。
 最終章においては、先の『X-Man File Q』のホストである、ジョン・デソーザ氏が登場。著者と、常識外の対談を繰り広げる。同書を気に入った人は、ぜひこちらもご覧いただきたい。
 著者・竹本良氏は、科学問題研究家・UFO研究家にして、聖パウロ国際大学サイキックパワー開発研究科宇宙生命研究室主任教授でもある。何ともすさまじい学科・研究室のある大学もあるものだ、と思って調べてみると、米国カリフォルニア州にある、宗教法人を母体とする大学であるらしい。さもありなん。

座敷わらしのいる蔵
高橋みどり 著

妖怪「座敷わらし」が住みついている蔵の話

幻冬舎メディアコンサルティング/1430円(税込)

 本書の著者・高橋みどり氏は、ごく普通の主婦。名古屋の大学を出た後、幼馴染と結婚して2児をもうけるも、夫の浮気が原因で離婚。3年後、結婚相談所を介して、宮城県角田市の(有)マルセンという小売店の社長・高橋克裕氏と再婚した。
 複雑な人間関係や度重なる事故、さらに東日本大震災など、さまざまな苦難を乗り越え、誠実に力強く生き抜く高橋夫妻。そうこうする内に2017年、何と(有)マルセンの蔵に妖怪「座敷わらし」が住みついていることが判明する。それも3体も!
 きっかけは、あの大震災。周囲の建物がみな崩壊するなかで、この蔵だけが瓦ひとつ落ちなかったという。
 これが話題となり、いつしかこの蔵は一種の「パワースポット」として、テレビの取材を受けるまでになった。
 そして2017年、評判を聞いてやってきたとある営業マンが、座敷わらしの声を聴いたのだ。これを皮切りに、以後、実際にこの蔵で座敷わらしを目撃する人が続出。何と彼らは、80年ほど前からこの蔵に住みついていることがわかった。
 一般に、座敷わらしは幸運を呼ぶというが、この蔵の座敷わらしはそれに加えてイタズラ好きで、携帯電話まで自力で操作してしまう愛嬌者。そんなこんなで、(有)マルセンの蔵は、今や世界にその名を知られる観光スポットとなっているという。実に奇妙でユニーク、そして心温まる、不思議なノンフィクションである。

日本列島秘史
鈴木真悟 著

日本の意外な史実が、次々と展開される

今日の話題社/1980円(税込)

 そのものズバリ「秘史」である。やはり本欄は、これでなくてはならない。いわゆる「古史古伝」から、文書として形を残していない民間伝承、あるいは在野の歴史家たちの自由な研究などを幅広く読むと、まったく無関係な資料の中に、なぜか「不思議な一致」を見せる記述が含まれていることに、著者は気づいた。そのような一致点をたんねんに拾い集めて整理していくことで、日本の正史には書かれていない、まさに「秘史」の姿が浮かび上がったのだ。
 天皇家の真のルーツ。本誌ではその名を出すことすら許されない、原日本人の一族の正体(以前評者は、それと知らぬまま、本文を引用する形でその名を書いたところ、一撃で検閲されてしまったことがある)。日本の古代信仰とミトラ教の関係など、意外な史実が、次々と展開されてゆく。
 著者による鋭い考察もさることながら、原資料がそのまま、豊富に引用されているのも利点のひとつ。読者としては、著者の論述をそのままうのみにするもよし、自身でその資料にあれこれ独自の解釈を加えるもよしと、何重にも楽しめる。
 なかには、えんえん18ページにもわたって資料の引用が続く部分もあり、資料集としての価値は十分。著者は伊達家に仕えた家臣の子孫ということで、実家にはさまざまな古文書が伝わっていた。本書の表紙に用いられている絵も、そうした古文書にあったもので、これだけでも実に貴重な書といえる。


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