レイチェル再訪で体験した「ミッシング・タイム」/保江邦夫・エリア51グラフィティー前編
見出し画像

レイチェル再訪で体験した「ミッシング・タイム」/保江邦夫・エリア51グラフィティー前編

湯川秀樹博士の最後の弟子にして武道家、そして伯家神道の祝之神事(はふりのしんじ)を授かったという異能の物理学者・保江邦夫氏は、もうひとつ「UFO研究家」の顔を持つ。20余年前に材質に関する研究報告の専門誌「バウンダリー」(コンパス社)に連載されていた「UFO調査」がここに復活! 今回は長い長い回想の特別編です。

文=保江邦夫 前回はこちら
初出=『BOUNDARY』誌1998年8月号

エリア51探訪記補完計画

 私のUFO体験記も、はや丸1年になりました。前回までの段階で、全ストーリーの3分の1。この辺りで一度幕間の休憩といこうではありませんか。というわけで、少し気軽な特別編を用意させていただきました。

 私の拙い連載記事を読んで下さっている皆様にはお馴染みですが、私は岡山にあるカトリック系の女子大で「晴書雨読」といってもよい悠々自適な研究生活を送っている理論物理学者です。現在の専門は素領域理論ですが、時々は量子脳理論などのメソスコピックなスケールの量子現象の理論も手掛けています。といっても、最後の最後まで記号で埋まった数式の消えない私の理論では満足のいかない美人助手のマリーは、さーっと斜めに読んで必要な式だけをピックアップし、まさに長嶋茂雄的直感によってあっという間に麻酔のメカニズムや意識の創発プロセスにおける巨視的量子効果をひねり出してしまいました。何でも、そこまでしないと、脳科学分野の科学者には理解してもらえないとか。
 マリーは、「だから、理論物理学者は役に立たないんですよ、先生」などと、鼻高々にミニ・スーツの膝上に手を置きながら足を組んでいます。彼女がそうするときは何か自分でも納得できる結果を得てご満悦のときだけだということを知っていた私は、今がチャンスと思い、ご機嫌なマリーに向かって話し始めました。
「おっしゃるとおり、理論物理学者は役に立たないことに専念するしかないようだね。実は、それに関してホンの些細なお願いがあるんだが」
 膝上の手がピクッと動いたと同時に、マリーの顔が少しだけ険しくなり、私はしまったと思いました。というのは、ちょうど1年前にもマリーのご機嫌がよいときを狙って、イタリアのリゾート地コモ湖で開かれた量子脳理論についての国際会議に行く話を持ち出したことがあったのです。

「先生、去年のイタリア行きでは、いったい幾ら使ったか憶えていらっしゃいます? 何の役にも立たない量子ナンタラの研究交流に行くだけではつまらないでしょうから、私の行きつけのミラノのブティックで新作を調達するようにお願いしてお金までお渡したにも関わらず、何とそのお金でナポリとフィレンツェで豪遊し、おまけに現地で借りたランボルギーニの底をソレントの崖で擦ってしまったじゃありませんか。しかも、隣にはかわいいセニョリーナが乗っていたという話も伝わってきています! あのときも、“ホンの些細なお願いが…”などというセリフで始まったのを私が忘れたとでもお思いですか!?」

 ここはしおらしくしたほうがよいと感じた私は、マリーの手が置かれた膝の先をこっそり眺めながら、ひたすらダンマリを決め込むことにしました。すると、私がうつむいて黙っている姿を見て反省していると勘違いした(本来は気の優しい)マリーは、次のように言い始めたのです。

「まあ、しかしですね、先生もだいぶ反省なさっているようですし、私も少し言い過ぎたかもしれません。お話の内容によってはまたオーケーしてもかまいませんが、いったいどこに行くおつもりですか?」
 少しだけホッとした私は、首を垂れてマリーの美しい脚線に目をやったまま、小さな声で答えてみました。
「…アメリカ。例の私のUFO連載の発端になった4年前のアリゾナ州での国際会議が再び開かれるので…」
 するとどうでしょう。マリーの目が急に輝き始めたかと思うと、ミニスカートがめくれ上がらんばかりの勢いで飛び上がったのです。
「何ですって! あのセドナの国際会議がまた開かれるのですか! なぜもっと早く言って下さらなかったのですか、こんな大事なことを!」
 瞬く間に、美人助手はあちこちに電話をかけまくってスケジュールの調整と旅行の手配を終えてしまいました。
「先生、これで大丈夫です。大学の授業や教授会などは気になさらないで下さい。その代わりといっては何ですが…、是非私もあのエリア51リサーチセンターに連れていって下さい。あのときいっしょに危険な目にあったカナダ人のスコットにも会いたいですし」

 というわけで、私と助手のマリーは4年ぶりにエリア51のあるネバダ砂漠に赴くことになったのです。

X-ファイル・モーテル以下

この続きをみるには

この続き: 10,336文字 / 画像4枚
この記事が含まれているマガジンを購読する
マニアックなロングインタビューや特異な筆者によるコラム、非公開のイベントレポートなど、本誌では掲載しにくいコンテンツを揃えていきます。ここで読んだ情報は、秘密結社のメンバーである皆様の胸に秘めておいてください……。毎月30~40本投稿あり。

ムー本誌の特集記事のほか、ここだけの特別企画やインタビュー記事、占いなどを限定公開。オカルト業界の最奥部で活動する執筆陣によるコラムマガジ…

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
ムーPLUS

ネットの海からあなたの端末へ「ムー」をお届け。フォローやマガジン購読、サポートで、より深い”ムー民”体験を!

いいんですか! ありがとうございます。
スーパーミステリー・マガジン「ムー」の公式サイトです。 ウェブマガジン「ムーCLUB」にて極秘情報を配信中。世界の謎と不思議をご案内します。 ※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを禁じます。