不滅の「カシマさん」/オカルト探偵・吉田悠軌の”女が怖い”
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不滅の「カシマさん」/オカルト探偵・吉田悠軌の”女が怖い”

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オカルト探偵・吉田悠軌が生涯をかけ追いつづける、怪談や都市伝説にあらわれる「怖い女」たちの姿。彼女たちをピックアップし、その恐怖の根源をひもとかんとするのが当連載の狙いである! 第1回は、さまざまな怪談のルーツにもなっている、この「怖い女」から。

文=吉田悠軌 挿絵=森口裕二

怖い女「カシマさん」

 カシマさん、カシマ様、カシマレイコ……。さまざまに呼ばれる「カシマ」という女。
 その正体は謎に包まれているが、多くの場合、片足か両足を失った女性の怨霊だと噂される。そして彼女の最大の特徴は、「名前を知った人のもとへ現れる」点だ。

 たった今、「カシマ」の名前を知ってしまった、あなた。
 あなたのもとには一週間後、足のないカシマさんがやってくる。そして彼女は「足、いるか?」と訊ねてくるだろう。その質問に対し「いる」「いらない」どちらを答えても、あなたは殺されてしまう。正しい対処法は「カシマさんカシマさんカシマさん」と彼女の名前を三度唱えること。そうすればカシマさんは去っていくはずだ――。

 ……といったところが「カシマ怪談」の最小単位の概要となるだろう。
 もっともカシマの知名度はそれほど高くない。同じ「怖い女」系列の「口裂け女」や「八尺様」に比べて、かなりマイナーな印象だ。ただ実は、この「大流行しない」点こそがキモで、代わりに時代遅れとして廃れることもない。50年もの長きにわたって細々と子どもたちの間でささやかれつづけているのが、カシマの強味なのである。

 その存在が確認できる最古の事例は1972年。雑誌「平凡パンチ」と「朝日新聞 新潟版」にて、北海道札幌市・新潟県糸魚川市の子どもたちにカシマ怪談が語られる様子が報告されている。

広がる化死魔サマの呪い
「この話を聞いて三日めの、夜中の十一時から午前三時の間に“ 化神魔かしまサマ”という下半身のない妖怪が、キミの前に現れ三つ質問をする。そのとき正直に答えないと、呪い殺されるゾ」
 こんな怪談が、いま札幌市内の中学生を発生源にして、モーレツな勢いで広がりつつある。「もし呪い殺されたくなかったら、三日以内に、同じことを五人に正確に伝えなければならない」(以下略)(「平凡パンチ」1972年8月7・14合併号)

まことしやかなユウレイ話糸魚川
 糸魚川市内の小学校児童の間で最近、「カシマ」という名の幽霊話が大流行している。(略)「話を聞いたら、五人以上に話さないと、あぶない」(略)
 子どもたちの話を総合すると、ユウレイは顔の右半分が焼けただれたお岩さんのような表情で、鈴の音を合図に姿を現わす。右足がないのと、両足のものと二種類があって、子どもたちに「足、いるか」「名前は」などの問いをかける。(以下略)(「朝日新聞」新潟版1972年10月11日付 朝刊)

 カシマ研究のパイオニアである青山葵氏、松山ひろし氏(*注1)らはこれを「カシマ元年」としているので、今年はめでたい「カシマ50周年」にあたるのだ。
 またカシマという存在は、口裂け女やテケテケなどの怪談キャラクターの先駆けでもあり、その噂は日本の都市伝説の草分けでもある。私は現代怪談における「赤い女」たちをずっと調査しているが、彼女たちの活躍も、すべてカシマの登場によって始まった。まさしく「怖い女」を紹介する本連載の第1回にふさわしいテーマといえよう。

挿絵=森口裕二

謎多き「カシマ怪談」の来歴をひもとく

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