胃袋に手を/読者のミステリー体験
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胃袋に手を/読者のミステリー体験

「ムー」最初期から現在まで続く読者投稿ページ「ミステリー体験」。長い歴史の中から選ばれた作品をここに紹介する。

選=吉田悠軌

胃袋に手を

京都府 22歳 村木恵

 私が高校3年生のときの出来事です。ちょうど、2学期の期末試験を終えた日のことでした。
 学校から帰るなり吐き気を催した私は、どうせ風邪でもひいたのだろうと軽く考えてすぐにベッドに横になりました。
 ところが症状は一向に良くなりません。それどころか時間がたつにつれてますますひどくなり、ついには胃が何かにわしづかみにでもされているかのような、激しい痛みに襲われるようになったのです。買い置きの胃薬も効かず、あわてて駆けこんだ近くの病院での注射もまったく効果がありませんでした。しかも、その病院での検査では原因がわからず、私の胃の痛みはそれから何日も続きました。

 数日後、私は大きな病院で改めて胃透視などのいろいろな検査を受けました。が、そこでもはっきりした原因は、わかりませんでした。ただ、私の胃にはなんの異常も見られないということだけが明らかにされましたが。

 胃が痛みだして約10日が過ぎたころ、私はさらなる検査のために、ついに入院することになりました。そして、検査と点滴の毎日が始まりました。しかし、検査の結果はどれも「異常なし」と出て、病院側も打つ手がなくなったようです。それでも私の胃の痛みと微熱は治まる気配はありません。どんな薬も効かず、どんな検査をしても原因がつかめないとなれば、私はただ病院のベッドの上で自分の胃の痛みと闘っているしかありませんでした。

 ところがそんな原因不明の激しい私の胃の痛みが、なんと祖母が見舞いにきてくれた日の翌日には不思議なことに、ピタリと治まったのです。しかもその数日後には、私はそれまで入院していたことなど噓のようにケロッとして、さっさと退院したのでした。

 実は、これはあとで祖母に聞いた話なのですが、祖母は私を見舞いにくる前に、私の胃の痛みの原因が現代医学でわからないならばと、ある霊媒師のところへ相談にいったらしいのです。そのときの話は、こんな内容でした。

 私の家では、私たち先祖のお墓参りをすませたあと、ある知り合いの家のお墓にも必ずお参りします。その家の人たちは遠くへ行ってしまっており、私の家がそのお墓の世話を頼まれているのだと聞いていました。霊媒師は、私の家がそうして知り合いの家のお墓をお世話していることをいいあてたうえで、その知り合いの家のお墓で眠っている霊たちがいつも大事にしてもらっている私の家のお墓に嫉妬して、私の胃袋から食べ物を取って食べようとしているといったそうです。

 私には、ちょっと信じがたい話でしたが、祖母は違いました。その霊媒師の話を信じたのです。
 そこで祖母は、霊媒師にいわれたとおり、私を病院に見舞った日の夕方、片手だけで握ったオニギリを持ってその知り合いの家のお墓に行き、「あんたは、ウチの人と違う。今すぐ孫から出ていってくれ」といってお参りし、そのオニギリを供えてきたそうです。

 私の胃の痛みがピタリと治まってしまったのは、その翌日のことでした。

 死霊が私の胃袋に手を突っこんで食べ物を……なんて、あまりにも突拍子もない話で、いまだに私自身、とても信じられない気分です。が、それを信じた祖母のおかげで、現代医学をもってしても治すどころかその原因さえつかめなかった私の胃の痛みが、ピタリと治ってしまったことだけは事実です。

 その後、そのお墓の家の人と連絡がとれ、事情を話してお墓参りにきてもらいました。そのせいもあってか、それからは一度もあんなふうに胃の痛みに苦しめられることもありません。


(ムー実話怪談「恐」選集 選=吉田悠軌)

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