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海岸で見つけたもの/西浦和也・裏話怪談

外出もままならなかった2020年の夏、つかの間の息抜きで訪れた海にて、それはいた。人のいない海は、もう、あちら側の領域なのかもしれない。

文=西浦和也 #裏話怪談
絵=北原功士

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西浦和也/(にしうらわ)自らの実体験から取材まで、膨大な不思議を集 める怪談蒐集家。トークライブなど出演のほか、共著『現代怪談 地獄めぐり』(竹書房怪談文庫)など著書も多数。

海岸でみつけたもの

 2020年、世界がコロナ禍に包まれた一年だった。日本でも緊急事態宣言により外出の自粛が求められたり、日常的にマスクをつけたりと、例年とは違う年になった。
 そんな2020年、十年来夏になるとお世話になっているFラジオ局のプロデューサーMさんが、こんな不思議な体験をした。

「つい先週のことなんですけど、コロナで出かけられないので、せめてふたりの娘たちに外の空気を吸わせたくて、家のそばにある海水浴場へ、妻も含め家族4 人で行ったんですよ……」
 35度を超えるうだるような暑さのなか、普段なら大勢の人で賑わうはずの海岸。しかしこの夏は、例年ならば並ぶはずの海の家も人の姿も見えず、貸切の状態だった。
 「わー、ガラガラだぁ!」まだ幼い6歳と4歳の娘は大喜びで車を飛び降りると、白く広がる砂浜へと走っていく。「こらこら、危ないから気をつけなさい」Mさん夫婦は子供たちの後を追おうと、姿の見える砂浜に腰を下ろした。
 長い巣ごもりでストレスが溜まっていた娘たちは、久々の外出に走り回っては声をあげてはしゃぎ回っている。
 いつもは人込みで見失わないよう付きっきりでいなければならないが、今日はその心配もない。Mさんたちはそのまま子供たちの様子を、砂浜から見守ることにした。
 娘たちはしばらく波打ち際でひっきりなしになってくる白波を追いかけて、いったりきたりを繰りかえしていたが、やがて左と右に分かれると、それぞれひとり遊びを始めた。
 6歳の姉は、砂浜に指で何かを書きはじめ、4歳の妹は岩場のほうに走っていくと何かを見つけたようにしゃがみ込んだ。そのうちあたりをキョロキョロと見回すと、拾った棒で何かを突きはじめた。ところが、Mさん夫婦からは手元が岩で影になっていて、何をつついているか見えない。

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