杉沢村の謎 「地図から消された村」を語り継ぐ怪奇譚のリアル/朝里樹
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杉沢村の謎 「地図から消された村」を語り継ぐ怪奇譚のリアル/朝里樹

かつて青森の山中にあり、地図や県の公文書から抹消されたと噂される杉沢村。津山事件や『八つ墓村』がもとになった都市伝説といわれるが、ネットでは、杉沢村が実在した証拠とされるキーワードもささやかれている。
杉沢村伝説にはただの噂、物語で片づけられない、一縷の真実が隠されているのではないか。

文=朝里 樹 イラスト=Sean Fonda

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地図から消えたどころか新たに加わった村

 青森県には地図から消された村にまつわる都市伝説がある。同県のある山奥には古ぼけた鳥居があり、その鳥居の下には髑髏(どくろ)の形に見える岩が置かれている。そして鳥居の向こうには廃村となった村がある。
 この村は「杉沢村」と呼ばれている。
 村へ向かう途中の道には「ここから先へ立ち入る者、命の保証はない」と書かれた看板があり、さらに進むと、廃墟が残る村の残骸が現れる。その廃墟には古びた血痕がこびりついており、そこで惨劇があったことを窺わせる。
 実はこの杉沢村は過去に実在した村で、昭和初期まで人が住んでいた。しかしある日、突然ひとりの若者が何かに取り憑つかれたようになって斧を手に村人を襲いはじめた。この凶行により村は若者を残して全滅。そして村人を皆殺しにした若者も自ら命を絶った。
 この事件により住人がいなくなった杉沢村は地図から消え、訪れる人間もなくなった。しかしこの廃村にはいまだに殺された人々や、殺人鬼となった若者の霊が棲みついており、迷い込んできた人間に牙を剥くという──。

 私はそんな〝杉沢村〟を訪れていた。正確には杉沢村そのものではなく、人々に杉沢村と呼ばれている地域だ。場所は青森空港のすぐ近く、青森市内の小畑沢小杉というところだ。
 山奥にあるという杉沢村のイメージにそぐわず、杉沢村の入り口とされる鳥居は舗装された道路のすぐそばにあり、容易に辿り着くことができる。近くにはゴルフ場があり、昼間に行けば無気味さはあまり感じない。
 鳥居の向こうに行くと、「猿田彦大神(さるたひこおおかみ)」と刻まれた石碑の他、いくつかの石がある。しかし杉沢村伝説とともに語られることが多い鳥居の下にある髑髏の形をした岩は見つからない。ひとつ髑髏のように見えなくもない石はあるが、いわれてみないとわからない。
 さらに奥に行けば赤い屋根の小さな小屋のようなものがあるが、血痕は見当たらない。当然廃村もなく、「ここから先へ立ち入る者、命の保証はない」と書かれた看板もない。
 吉田悠軌著『禁足地巡礼(きんそくちじゅんれい)』によれば、90年代にはこの場所は近隣の道路も整備されていなかったが、2007年に汚泥・屎尿処理施設が建設されたことをきっかけに開けた土地になり、開発が進んだのだという。
 今はグーグルマップで「杉沢村」と検索するとこの場所が出てくるため、地図から消えた村どころか、新たに地図に登録された村となっている。

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