枕元の地獄/読者のミステリー体験
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枕元の地獄/読者のミステリー体験

「ムー」最初期から現在まで続く読者投稿ページ「ミステリー体験」。長い歴史の中から選ばれた作品をここに紹介する。

選=吉田悠軌

枕元百鬼夜行

富山県 58歳 大田千尋

 平成14年のある日の深夜のことです。何やら異様な気配を感じて目を覚ましました。

 なんと豆電球の薄明かりの中に、床から50センチほどの高さまで垂らしてある蛍光灯のスイッチのヒモをつたい、全体が25センチほどもある大きな紅い折り鶴が、スーッと下りてくるのが見えたのです!
 驚きながらも、もしかしたら自分が寝ぼけて幻覚でも見ているのではないかと思い、寝たまま手を伸ばし、その折り鶴をつかもうとしました。
 その途端、折り鶴がするすると上がっていったかと思うと、まるで入れかわるように、鮮やかなオレンジ色をした、やはり全体が25センチくらいの大きなクモがスルスルと下りてきたのです‼
 今度は、驚きよりも恐怖に駆られて身を起こし、クモを叩きおとそうと手を伸ばしました。するとクモはツーッとヒモをつたって上がっていき、蛍光灯の真下あたりで動かなくなりました。

 もう、自分が寝ぼけているのではないかとなど疑っていられる状態ではありません。あわてて隣に寝ている夫を起こそうと夫のほうに顔を向けました。
 その瞬間、思わずヒィッと声を上げてしまいました。
 なんと夫の顔のそばに、羽織袴の50センチくらいの小さな老人が座っていたのです。総髪を肩まで垂らした、鼻が高く彫りの深い顔立ちの老人で、全身から凜とした威厳のようなものを漂わせています。
 飛びだしそうな心臓に手を当て、自分自身に落ちつくようにいいきかせながら、なんとか夫を起こそうと夫の顔に目をやりました。

 その瞬間──
 血が逆流するかと思えるほどの驚きと恐怖に身を凍らせました。夫の眉間に、長い刀が斜めに深く刺さっていたのです。
 そのあまりにもおぞましい光景に、しばらくただうろたえているだけでした。

 そのうちとにかく夫の側に座っている奇怪な老人を追い払おうと、シーッ、シーッといいながら老人に向かって激しく手を振りました。すると老人はまるで映画のシーンを見ているかのようにスルスルと小さくなっていき、夫が寝ている横の押し入れの襖の中にスーッと消えていったのです。
 しばらく呆然と老人の姿が消えた襖を見つめていましたが、やがてハッとわれに返り、あわてて蛍光灯をつけました。

 明るくなった部屋中を恐る恐る見まわしてみましたが、折り鶴もクモも老人も、もうどこにも見当たりません。夫の眉間に刺さっていた刀も消えて、傷ひとつ残っていません。

 時計の針は午前2時4分を指していました。
 あまりにも恐ろしくて、この出来事は夫には話せませんでした。
 そして、それまで健康体であった夫が、どういうわけか急に翌日から体調を崩し、約半年後に他界。夫の死とあの老人とは何か関係があるのでしょうか!?


(ムー実話怪談「恐」選集 選=吉田悠軌)

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