デバルクマン(下船)症候群に悩まされる人の話など/南山宏・ちょっと不思議な話
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デバルクマン(下船)症候群に悩まされる人の話など/南山宏・ちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2016年9月号、第389回目の内容です。

文=南山宏

幽霊スノーモービル

〈MXニューズ〉昨年3月11日付によれば、カナダはニューファンドランド・ラプラドル州ディアレイク付近のハイウェイを、運転者のいない無人のスノーモービルが12キロにわたって突っ走り、雪の吹き溜まりに激突してでんぐり返ると、ようやく停止した。
 トランスカナダ・ハイウェイ上の現場に居合わせた目撃者のドライバーによると、スノーモービルは時速60キロも出していた。
 事故も起こさず、怪我人もなかったのは、まさに奇跡だった。


下船症候群の女

 英ノサンバランド州ベリンガムのキャサリン・ベルさん(49歳)さんは、2005年に娘2人とトルコにバカンス旅行してから、奇妙な〝デバルクマン(下船)症候群〟に悩まされるようになった。
 デバルクマン症候群とは、旅行がきっかけとなって発症する神経学的障害で、眩暈(めまい)や吐き気、頭痛や耳鳴り、集中力減退や認知障害などを伴い、車・船・飛行機などの旅行酔いに似た症状がいつまでも消えない厄介な病気だ。
「トルコのマルマリス空港に降り立ったとたん始まったので、最初はてっきり飛行機酔いかと思ったわ。不思議なのは普通とは逆で、飛行機に乗って離陸したとたん、症状がピタッと治まるの。でも、着陸して地上に降り立つと、またすぐに症状が戻ってくるのよ」
 帰国してからも、同じ症状が何か月も治まらないので、耳鼻科を受診して耳洗浄もしてもらった。車酔い止めの薬も服んでみたが、症状は依然として消えなかった。
 しかし、症状に悩まされながらも、学校管理人としての仕事は大過なく務めるうちに、数か月たったある日突然〝目が覚めたら症状がなくなっていた〟という。
 ところが、やれこれでひと安心というので、前回の旅行がよほど楽しかったのか、翌年キャサリンはふたたび、娘たちといっしょにトルコへ観光旅行に出かけた。
 そして今度もマルマリス空港に降り立つやいなや、待ってましたとばかりにデバルクマン症候群が襲いかかってきたのだ。
 でも、彼女は健気に強調する。
「わたしの世界はまるでいつもメリーゴーランドに乗ってるみたいだけど、これ以上悪くならないように気をつけて、お酒もタバコもやらないし、よく食べ、よく運動し、よく眠るようにして、それなりに幸せな人生を送ってるわ」
 この病気の専門研究家、米カリフォルニア大のチャ・ユンヒ教授によれば、これはきわめて稀な病気で、原因は脳脊髄液の減少にあるようだが、現時点ではまだ有効な治療法がない難病だそうだ。


岩山の聖母(マドンナ)

 昨年4月14日付〈BBCオンライン〉によれば、イタリア南部の由緒深いカザレットスパルターノの村は、新たな巡礼の地として、敬虔なカトリック教信者が引きも切らずに訪れるようになった。
 理由は1昨年の夏以来、岩山の崖に〝聖母マリアのお姿〟が忽然と見えるようになったからだ。
 住民の話では、それまでは何の変哲もない岩崖(いわがけ)だったが、大雨が降った直後、小さな地滑りが起きて岩塊が崩落すると、聖母のような形状が、両手や寛衣(かんい)のようなものまで含めて出現したという。
 もともとローマ帝国時代の昔から、宗教的祭礼の行列が通った山道のすぐ下に位置するので、住民の信仰心に強く訴えたらしい。
 もっとも精神医学の分野では、このような現象はシミュラクラとかパレイドリアと呼ばれ、〝類像錯視〟現象と説明されている。

痛み分け

 スイスのエンブラッハとラーテルシェンのアマチュアチームのサッカー試合が、昨年4月17日、想定外の生物現象に妨害された。
 数万匹に達するカエルの大群が出現して、ピョンピョン飛び跳ねながらピッチに乱入し、試合の続行が不可能になったのだ。
「このへんではカエルの大移動がときたまあるが、サッカー試合が中止になったのは初めてだね」
 エンブラッハ・クラブの副会長サンドロ・カヴィオラは嘆いた。
 試合は2対2の引き分けが宣告され、仲よく痛み分けとなった。
 カエルの大移動は、昔から世界中で報告されている。原因は産卵の目的、地震の前兆など、さまざまに憶測されるものの、専門家にもはっきりとはわかっていない。

DNAデータ保存法

 米マイクロソフト(MS)社は、今年4月、DNA合成専門のツイストバイオサイエンス(TB)社から、合成DNAを約1000万本買い付けた。
 目的は日夜、幾何級数的に増大するデジタル情報データの、大量かつ永久保存を可能にする最先端技術の開発にあるという。
 これまでも〝石英ガラスのハードディスク〟や〝スプーン1杯のナノ粒子溶液〟など、SF顔負けの未来的ハイテク情報保存法が、さまざまに提案されてきた。
 もともと生物学的遺伝情報の保存媒体であるDNAに、デジタル情報データを貯蔵するのは、理に適っているとも言える。
 TB社最高経営責任者(CEO)のエミリー・リプルースト氏は説明する。
「デジタル宇宙を飛び交う情報データの総量は、2020年には44兆ギガバイトに達すると見られ、従来のハードドライブ方式では対応しきれなくなる怖れがある。
 だが、DNAをデータ貯蔵のアーカイブとして使用すれば、現行の方式に比べて、はるかに大量の情報をはるかに小さいスペースに収納でき、しかもほとんど半永久的に――少なくとも数千年間は保存できる可能性がある!」
 DNAにデータを保存するアイディアの発案者は、米ハーヴァード大の遺伝学者ジョージ・チャーチ博士で、2012年、単行本をまるまる1冊分、DNAにデジタルコード化する実験に成功した。
 博士ら研究チームの計算によれば、重さたった1グラムのDNAに、1兆ギガバイト分のデジタルデータを貯蔵できるという。
 念のためMS社はTB社と協力して、シリコン系合成DNAにデジタルデータをコード化し、再回収するテストを事前に実施した。
 結果は期待通り、デジタルデータの100パーセント回収に成功したため、MS社は今回、合成DNAの購入に踏み切ったそうだ。


(月刊ムー2016年9月号掲載)

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