
宮古島の奇祭パーントゥ・プナハ訪問! 泥まみれの来訪神と遭遇/影市マオ
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美しい海に囲まれた南の楽園に、「パーントゥ・プナハ」という奇祭が伝わる。全身に泥をまとった異形の神「パーントゥ」が、人々を追い回しては泥を塗りつけるのだ。“日本一恐ろしい祭り”とも称されるその伝統行事を体験するために、島を訪れた。(2017年取材/ムー 2018年4月号掲載)
文・写真=影市マオ
南の島で催される日本一恐ろしい奇祭
「おい、こっちに来たぞ!」
「早く! 早く逃げろ!」
「うわあああ、やられたあ!」
のどかな南の島のある集落が、突如として阿鼻叫喚の渦に包まれた。
まるで魔界から這いでたような“異形の怪物”は、老若男女関係なく次々と襲いかかり、無慈悲にも血祭りに……いや、泥祭りにしていった――。
全身に泥をまとった異形の神パーントゥ。厄払いの神として、パーントゥが人々に泥を塗りつける祭りは、およそ300年前に海岸に漂着した仮面(来訪神)に由来するといわれている。
2017年10月25日と26日の2日間にわたり、沖縄県宮古島市の島尻集落で、“日本一恐ろしい祭り”とも呼ばれる「パーントゥ・プナハ」が開催された。
全身に黒い泥をまとった来訪神「パーントゥ」3者が、だれかれ構わず人々を追い回しては容赦なく泥を塗りつけるという、なんとも衝撃的な伝統行事である。
その様子は神々と人間の鬼ごっこのようでもあるが、実際「パーントゥ」という不思議な印象の名は、宮古島方言で「鬼」や「妖怪」などの存在を指し(「パーン(食[は]む)」+「ピトゥ(人)」が訛[なま]ったとも)、「プナハ」は「祈願祭」を意味する。別名「サトゥプナハ(里願い)」とも称するこの行事自体は年に3回あり、パーントゥはそのトリを飾るものだ。
泥塗りには厄祓いの意味があり、集落全体から悪霊を退け、塗られた者は一年間の無病息災を得られるとされている。いわば「毒をもって毒を制す」の泥バージョンみたいなものだろうか。ゆえに、もし泥を塗られても、笑顔で感謝こそすれ、決して怒ってはいけないのだ。
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