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道院紅卍字会の扶乩と岡本天明ーー「日月神示」誕生の謎/不二龍彦

戦前から戦後の初期、日本の秘教的宗教団体に大きな影響を与えた結社―—
それが、道院紅卍字(こうまんじ)会であった。
この結社はさまざまな霊的巨人たちを引き寄せ、結果、日本における霊界の革命が起こったともいえる。その巨人のひとりが岡本天明(てんめい)である。本稿では、道院紅卍字会(こうまんじかい)と天明の軌跡をたどりながら、『日月神示』誕生の秘密をひも解いてみたい。

文=不二龍彦

道院紅卍字会と日本を結びつけた関東大震災

 戦前から戦後初期にかけて、日本の秘教的宗教団体に大きな影響を及ぼした中国の宗教結社に、道院および関連組織の紅卍字会(こうまんじかい)がある(以下、道院紅卍字会)。この結社は「扶乩(フーチ)」と呼ばれる自動書記法によって神霊神仏と通交し、神霊からもたらされるメッセージ(壇訓)にもとづいて一切を運営するところに、際だった特徴がある。
 日本では、まず出口王仁三郎が深く共鳴して提携した。ほかにも『日月(ひつく)神示』の岡本天明(てんめい)、菊花会の小田秀人、戦後、道院東京総院の責任副統掌や多摩道院統掌を務めた笹目秀和(ささめしゅうわ)、千鳥会の萩原真(まこと)、不世出の物理霊媒・亀井三郎(関連記事)、亀井亡きあとの数少ない本格霊媒・竹内満朋(みつとも)などが道院紅卍字会と直接・間接の関係をもち、全員が自ら扶乩を行っている。

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『日月神示』を下ろした鳩森八幡宮の留守神主時代の岡本天明。

 道院は民国5年から6年(大正5、6年)にかけて、山東省濱縣知事だった呉福林と駐防衛長の劉紹基が、至聖先天老祖(老祖)の神託を受けたことに始まる。組織としての道院が設立されたのは民国10年。世界紅卍字会は翌11年で、以後中国内に猛烈な勢いで広まっていき、道院誕生からわずか2年後の大正12年には、日本に世界初の支院が開設されるのである。
 道院紅卍字会と日本を結びつける契機となったのは、大正12年9月1日の関東大震災だ。一般には、震災を知った道院が救援物資(米と銀)を送ってきたとされているが、そうではない。大震災4か月前の5月に、早くも全道院を統括する北京総院の扶乩壇に「米を集めよ」という指示が出て、救援の動きが始まっているのだ。

 笹目秀和によれば、集める理由の説明は何もなかったが、紅卍字会は神命に従って中支の穀倉地帯で米をかき集め、8月には4000石に達した。そこでこの米をどうすればよいか扶乩によって伺いを立てたところ、今度は「日本に送れ」との指示が出た。やはり理由の説明はなかった。
 当時、中国には防穀令が敷かれており、米を勝手に国外に送ることはできない。そこで集めた米4000石と銀2万両を南京日本領事館の林出賢次郎領事に譲渡し、林出が日本に送るという迂回案で処理することとなった。
 林出がチャーターした輸送船は、8月26日に神戸港に着いた。この時点でも、物資の処置は不明だった。輸送船に同乗してきた使節団が北京総院に指示を仰いだところ、「東京に送れ」という壇訓が出た。そこで船を東京に回送し、9月1日朝、東京湾に着いた。
 ところがまさにその日の11時58分、関東大震災が勃発した。物資は東京市に寄贈され、焦土と化した東京の救援に充てられた。ここで初めて、北京総院における扶乩の意味が明らかになったのである(笹目秀和「尋賢 林出先生を想う」)。

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